ACT.09
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ、明日、着くんですよね。王墓に』
「あぁ。昼間には着くだろう」
何を聞いてるんだ私!
どうでもいいだろ!、と1人隠れて悶絶するアルフィナをよそにバッシュは真面目に答える。
「何故、矢を避けなかったのだ?」
『え…』
バッシュが唐突に切り出してきて、つい目が点になった。バッシュが言ったのは昼間の戦闘の事。
言葉に詰まるアルフィナにバッシュはふっ、と笑った。
「まぁ、君の事だ。ウォースラ、だろう?」
『……。』
そーっと、目を横に逸らした。それにバッシュはますます笑い、明らかにそれを隠そうとしていたが、残念ながらバレバレだ。チクショウ。
しかし本人に反省の色は見られなく、「分かりやすい性格だ」、と私の耳にも聞こえる声で呟いた。
最初は拗ねていたアルフィナだが、しだいに彼女にも笑みがこぼれた。
あ、なんか雰囲気が和んでるような。ぎこちなさが無くなった…、…気がする。
『本人には言わないで下さいね。そーいうの気にしそうだから、』
と思い浮かべるのは、自分に厳しそうな彼・ウォースラ。
バッシュは「わかっている」、と頷いてくれた。
なにを隠そう、昼間の戦闘でアルフィナは矢を避けられなかった…のではなく、避けなかったのだ。
何故なら、矢を放った“あの”エンサ族の延長線上…つまりアルフィナの背後には、距離は離れてはいたがウォースラがいたのだ。
しまった──!
私が避けたらアズラス将軍に─!
そう思ったアルフィナは真っ先に行動に出た。…ただ動かなかっただけなのだが…。
そして矢はウォースラではなくアルフィナに刺さり、今に至る。
あのお堅そうな将軍の事だ。アルフィナが自分を庇ったと知れば、少なからず己を責めるに違いない。バッシュはもちろん、バルフレアやフランまでもが、その事にうすうす気付いていた。だからこそ、敢えてウォースラにも言わなかったし、アルフィナにも「一体どうしたんだ?」、と問いたださなかったのである。
その気遣いにアルフィナは申し訳なさそうに笑う。
しばらく沈黙が続いた。かすかに吹く風と、砂海の波打つ音だけが静かに流れた。
そこでふとアルフィナは思う。
言いたかった事、今ここで言うべきではないか、と。
今までにも何度も言おうとして、言いそびれてしまったことがある。
素直になれば、簡単に出てくる言葉だ。──だが、存外“素直になる”とは難しいものである。でなければ、こんなに苦労はしない、とアルフィナはひしひしと思い知った。
…だが今言わなければ、もう一生言えない気がして。
覚悟を決めた。
気を引き締め、俯いていた顔を上げた。
…その表情は、ある意味今から戦地へ赴かんとする戦士の顔のようで。
微かに震える声で言葉を紡いだ。
.