ACT.09
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野営地を出発し、ちょうどナム・エンサ砂海の半分辺りを進んだ。そんな一行を大量のウルタン・エンサ族が襲いかかる。
アルフィナ達は珍しく囲まれ、苦戦に追い込まれた。
『はぁあ!』
「たぁ!」
アルフィナとヴァンが先陣切って戦い、バルフレア、フラン、パンネロが援護。バッシュ達は後方を守り戦った。
スロウや沈黙といったステータス障害を掛けてくるエンサ族にだんだんイライラがつのる。
『あ~~もう!!ウザいっ!!』
つい苛立ち集中力が散漫になり、剣捌きが徐々に荒くなっていく。そんな中、アルフィナに悲劇が降りかかった。
一匹のエンサ族がアルフィナに向かって矢を構えたのだ。
『──…!』
避けなければ!
そう思い、足に力を込め踏み出そうとした。───しかし、アルフィナは足を踏みとどまってしまう。
──ザシュ…!!
『──っ!!!』
その隙をエンサ族の矢が彼女の左髄を貫通する。
「アル!?」
「─!、アルフィナ!!」
パンネロが悲鳴を上げ、それに気づいたバッシュがすぐさまエンサ族を斬った。
『っ…、…』
痛みに顔を歪めるアルフィナ。どこか様子がおかしい…。
残りのエンサ族を一気にたたみかけ倒し、みんなアルフィナの元へ駆け寄った。
『はっ…、…っ』
足がふらつく。視界がぼやけて見えるのは暑さのせいだろうか…。
ガクンと崩れ落ちたアルフィナを寸前でバルフレアが脇の下に手を伸ばして支えた。ゆっくりと地面へ座らせる。
呼吸の仕方がおかしい。顔色も悪い。これは…、
「マズい!毒だっ」
「フラン!」
バルフレアが気づくよりも先にバッシュが言った。
アルフィナは毒に侵されていたのだ。おそらくこの矢に仕込まれていたに違いない。毒は異常に体力を奪い、発熱を起こし神経麻痺を発症させる。
「アルフィナっ、」
『……っ、…』
アルフィナを自分にもたれかかせ、顔を覗き込むバルフレア。
まずは先に貫通した矢を抜かなければならないのだが…。
「手荒だが、手で抜くしかない」
「アル、大丈夫だよな!」
心配そうにバッシュに聞くヴァン。パンネロも不安な顔をする。
「あぁ、大丈夫だ。心配いらない。2人は向こうで待っていなさい」
「わ、わかった…、パンネロ行こう」
「うん…」
何度も振り返りながらその場を少し離れたヴァンとパンネロ。
手荒な治療を見るには2人にとって辛いだろう、というバッシュの考えだ。
「ウォースラ、」
それだけを言うとウォースラは頷いた。アーシェと離れているように、と意味のこもったバッシュの視線をすぐ分かったからだ。
「殿下、」
「……、」
しかしアーシェはそこを動こうとしなかった。
ただジッとアルフィナを見つめている。
「殿下、向こうへ…」
「…、…いいえ。私はここで…」
見守ります、と首を小さく振って促すウォースラを拒否した。
心配だから。
それはヴァンやパンネロも同じなのだが。
アーシェは何故か離れたくなかった。
辛くてもいい。そばにいてやりたい…。
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