ACT.09
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オルグ・エンサを2日強で渡り、ナム・エンサに差し掛かった所で本日は終了し、徐々に慣れつつある野宿の支度に取りかかった。
『はぁ…』
野宿3日目にさすがに精神的にまいってきた。無意識にため息が出る。
バッシュやウォースラ、バルフレア、フランの大人達はさすがといった所か、いつもと変わりなく。感心と羨ましさが顔に表れてくる。
今日は運良く見つけた小さなオアシスで野宿だった。本物の水が月夜に煌めく。
「アル、どこ行くの?」
1人野宿する場所から離れるアルフィナにパンネロが声を掛けた。
『ちょっと水浴びしてくるっ』
「わかった、気をつけてね」
背を向け手を振り、アルフィナは泉を目指した。
砂漠の夜はとても寒い。そんな中で水浴びはある意味、真冬の寒中水泳と同じかもしれない。
しかし、昼間かいた汗をそのままにしておくには、すでに我慢の限界で。バルフレアでさえ、シャワー浴びたい、とぼやいてたほどだ。
草陰に隠れて、衣服を脱ぎ捨てるとアルフィナは勢い良く泉に飛び込んだ。水面が衝撃に揺れた。同じように水面に描かれた真ん丸い月もその姿を崩した。
チャプ…、とゆっくり身体が水面に浮き上がる。泉に差し込む月の光が幻想的で思わず魅入るほど。
アルフィナの長い髪が水に、たゆたうように優雅になびいた。
水の流れに身を任せ、水浴びと称して泳いだ。予想通り、水温は低くて、体温はすぐに下がっていく。
身震い1つしてアルフィナは泉から上がった。
衣服に身を包むアルフィナは、濡れた髪をそのままに泉の畔を歩いた。
ラバナスタでもよく見た月はここでも変わらず自分を照らす。
満ちた月は羨ましくて…、
欠けた月は寂しくて…、
…気づけば無意識に足は動いてた。曲のない、優雅な踊り。
指先まで思いの籠もった踊りを、遠くから誰かが見ていた事を私は気づかなかった。
「……。」
剣の稽古以外の勉強がなにもかも嫌いだった私が、唯一好きだった踊り。
昔、よくアーシェと一緒に踊ったっけ。懐かしさに、目を閉じた時──砂を踏む足音にはっ、と止まった。
「意外だな」
『…バルフレア、』
こんな皮肉を言うのはコイツしかいない。確かに意外かもしれないけど。
『バルフレアには出来ないでしょうね、』
アルフィナはプイッと顔を逸らした。が、バルフレアは余裕な口調で「出来るさ」と言った。
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