ACT.09
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夜が明けて朝。
西ダルマスカ砂漠でシュトラールのアンカーを下ろし、降り立った一行。
その後、バルフレアがシュトラールに向かって何かのスイッチを押したのが見えた。するとシュトラールは映る景色に溶け込むようにその姿を消してしまい見えなくなる。
『おぉー…』
「すげぇ…」
アルフィナ、ヴァン、パンネロが揃ってシュトラールが止まっているだろう場所を見上げた。
驚く3人をよそにアーシェは皮肉ったセリフを吐く。
「これも仕事柄ですか」
しかしバルフレアは動じない。
「有名人の辛い所さ。こうでもしないとすぐに見つかる」
『そっかー。“熱烈なファン”がいるほどだもんね』
アルフィナは“緑のバンガ族”を思い浮かべてけらけら笑う。
「よしてくれ。野郎のファンなんか嬉かねぇよ」
バルフレアは苦い顔をして見せた。
『じゃぁ今のうちにサインでも貰っとこうかな』
「いくらでも」
紳士っぽく返すバルフレアにますます笑みが止まらないアルフィナだった。すると、ヴァンが口を挟んできた。
「バルフレアのサインなんか貰ってどうするんだよ」
「“なんか”とはなんだ」
「部屋にでも飾るの?アルフィナ」
パンネロが首を傾げて聞いてくる。
『カイツ達にでも自慢してやろうかなーって。だって本物の空賊のサインだよ?どっかの“自称空賊”と違ってね』
皮肉と白い目をヴァンに向ける。案の定ヴァンは、う…と言葉を詰まらせ顔を反らす。それをパンネロと一緒に笑い、バルフレアもくっ、と小さく笑ったのだった。
「さて、飛空艇ではここまでだ。この先は“ヤクト”だからな。」
バルフレアは話を切り替えた。一行は先を遠く見つめる。あの砂漠を越えた先にレイスウォール王墓があると信じて。
「砂の海を越えて死者の谷に向かいます。目指すレイスウォール王墓はその先に」
アーシェは王墓がある方向を見つめ、静かに話す。
『ヴァン、“ヤクト”って?』
「“ヤクト”ってのはさ、飛行石が働かない土地のこと。だから飛空艇で飛んで行けないんだ」
『へぇー…。』
ヴァンは鼻を高くして自慢気に答えた。
「飛空艇の事だけは詳しいのね」
からかうような口調のパンネロ。
「まぁね、そりゃ空賊目指してるし。…、っておい!“だけ”は余計だろ!」
今頃気づいたのか、棘が含まれたパンネロのセリフにようやく文句を言うヴァンだった。
『あはは!でも認めたー!』
「ふふ、ほんとだね!」
「~~っ!!だから!」
簡単に言えば、飛空艇のことしか知らない、と言われたようなものだ。聞こえる賑やかな笑い声にバルフレアは苦笑いし、呆れたため息と一緒に「道中、退屈しそうにないな」と呟いた。
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