バッシュはアーシェを見て、「ウォースラに代わり同行します」と言った。アーシェは小さく頷く。




「アルフィナやヴァン達はどうするの？」



今度はフランがパンネロを伴って艇内にやってきた。なんだかんだで全員揃ってしまうところ、みんな何かあるだろう、と思ったのかもしれない。


『わ、私も行く！ヴァンは？』

「行くよ、行くって！こんな所置いてくなよ」

「じゃぁ私も！」


そう言ってパンネロはヴァンの後ろの座席に座った。



『「パンネロ！｣』

「ひとりはもう嫌」


驚きパンネロを見ると、寂しげな顔をする彼女に否とは言えなかった。



『うん』

「──わかった。」



その様子にフランが口を開いた。




「決まりね。侯爵に気づかれる前に発ちましょう──誘拐犯らしく、ね」



“誘拐犯”と“人質”を乗せたシュトラールは静かにビュエルバの夜空を飛んでいったのだった。



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