ACT.08
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侯爵の屋敷に行くと、前と同じ部屋に通された(アルフィナとパンネロは初めてだが)
ビュエルバの街並みが一望出来る部屋で話す内容はあまり明るい内容でない。アルフィナはヴァン、パンネロと一緒に後ろの方でアーシェ達の政の話を聞いていた。
「あの調印式の夜──父の死を知ったウォースラはラバナスタに戻り私を脱出させました。ヴェインの手がのびる前にあなたに保護を求めようと」
席につくオンドール侯爵の横顔をアーシェは見つめる。
「ところが当の私はあなたの死を発表。帝国に屈したように見えたでしょうな」
アーシェは考えが見抜かれたのか、顔を俯かせた。
侯爵は1人、眉間にシワを深く刻んだ。
「あの発表はヴェインの提案でした。当時は向こうの意志を掴めぬまま、やむなく受け入れましたが…、狙いは我らの分断であったか」
「ですがそれも終わりです。私に力を貸して下さい、共にヴェインを!」
アーシェは強く侯爵に訴えたが、侯爵は立ち上がり返したのはため息一つで。そしてアーシェを見つめる。
「抱っこをせがんだ小さなアーシェは───もういないのだな。殿下は大人になられた。」
「それでは、おじさま──」
「しかし仮にヴェインを倒せたとして、その後は?」
席を立った侯爵はゆっくりと窓際に寄り、辛辣な言葉をアーシェに投げかける。
「王国を再興しようにも王家の証は奪われました。あれがなければブルオミシェイスの大僧正も殿下を王位継承者とは認めんでしょう」
振り返ってアーシェを見る公爵。
「王家の証を持たない殿下に今できる事は何一つございません。然るべき時までビュエルバで保護いたします」
「そんな、できません!」
「では今の殿下に何が出来ると?」
「おじさま──」
侯爵の突き放す言葉にアーシェは黙り込んでしまう。悔しさに握った拳が震えていた。公爵に今は何も出来ることがないからただ、黙って大人しくしていろと言われているようで。
そんなアーシェをアルフィナとバッシュが心配そうに見つめる。
「それはそうと、王女を助けた謝礼はアンタに請求すりゃあいいのか?」
重たい雰囲気を壊すようにバルフレアが切り出した。
気が抜けたようにアーシェは重い足取りで部屋を出て行く。
「まずは食事だ。最高級のやつをな、」
バルフレアが謝礼とやらを請求する中、アルフィナはアーシェが心配で気が気でなかった。その時、バッシュが側に来て言った。
「殿下の側に居てやってくれ。私では必要以上にお側にはいられないからな、」
『…。』
アルフィナはバッシュを見、静かに頷いた。
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