ACT.08
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「早く早く!全開!」
「だめ」
操縦席に座るフランをパンネロが急かしたが、フランは冷静に返し、パンネロを床に伏せさせた。
アルフィナ達も同じように体制を低くし身を隠す。
アトモスでリヴァイアサンを出ると、たくさんの運用艦や小型戦闘機が飛び回っていた。アルフィナ達はバレないようにゆっくりと艦隊を離れ、ビュエルバを目指した。
『行った?』
アルフィナはひょこっと顔を覗かせる。
艦隊が遠くに見えた時、ようやく全員が顔を上げた。
「下手に急いでたら見破られていたわ」
フランの機転によりどうにか切り抜ける。
緊張の糸が切れたようにふぅ、とため息がこぼれた。
『ビュエルバへ戻るの?』
アルフィナは隣にいたバルフレアに聞いた。
「とりあえず、な」
ビュエルバへは時間も掛からず到着した。着いた途端、アーシェ、バッシュ、ウォースラは3人で話し始め、パンネロは先を歩くバルフレアに駆け寄った。
「あの、これ洗っておきました」
そう差し出したのは白いハンカチ。それはアルフィナ達がナルビナ送りになる時、バルフレアがパンネロに渡したものだ。
「光栄の至り」
胸に手を添え、わざとらしく頭を下げるバルフレアの態度にパンネロは戸惑いながらも、笑って返した。
その様子を面白くなさそうに見るヴァン。
側でアルフィナは腹を抱えて笑いをこらえていた。
『顔に出てますよヴァン君。』
「──…!」
ぼそりと呟いてやれば面白いほどに反応するヴァン。さらに笑いがこみ上げてくる。
『かわいいー!わかりやすいー!』
「うるさいなっ」
からかうアルフィナはヴァンに追いかけられ、港内でもお構い無しにハシャぐ2人。
すると唐突にウォースラがアルフィナの名を呼んだ。
「─アルフィナ!」
『?、はい』
突然走っていた足を止めた為、後ろを追いかけていたヴァンが思いっきりアルフィナの背中にタックルをかましてきた。危うく前のめりに倒れそうな所をなんとか踏ん張って持ちこたえる。
『なんでしょう?』
いたた、とタックルされた背中をさすりながらアルフィナはウォースラ達に駆け寄った。
「俺はこれから別行動を取る。殿下をたのんだそ。バッシュの手助けをしてやってくれ」
『あ、はい!お気をつけて』
敬礼なんて堅苦しいことは知らないアルフィナはピッと姿勢を伸ばした。
「殿下、彼女を覚えておいでですか?」
『……。』
ウォースラはふとアーシェに向き直った。
「あなたはヴェスパニア家の…」
『はい。アルフィナといいます。お久しぶりですアーシェ殿下。』
アーシェはウォースラを見た。
「ですが、ヴェスパニア家の後継ぎは行方不明と…」
聞いた。とアーシェは問うように呟いた。それにバッシュが答える。
「はい。アルフィナはずっとラバナスタのダウンタウンで暮らしていたそうです。心配は無用です殿下」
「そう、だったの…。」
なにも返さないアーシェ。その事に少し悲しくなったが、それも仕方ないとも思う。離れていた月日があまりにも長すぎて。互いにどう接すればいいのか分からないのだ。
前は、友達だからと名を呼び合い、敬語など使っていなかったのに。今では…
『私も共に戦います。困った時はいつでも頼って下さい』
「…ありがとう」
この有り様だ。
それだけ言うとアーシェは1人先にターミナルを出る。
その背中を寂しそうに見つめるアルフィナだった。
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