ACT.01
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前バレンディア暦706年──
ダルマスカ王国の無条件降伏という名の敗北から二年…。移り変わる情勢の中、ダルマスカの王都ラバナスタにアルケイディア帝国から新たに執政官がやってくる今日。
街はいつもより増して、ピリピリとした雰囲気に包まれていた。
聞けば東、南、西の門は全て封鎖され、ダウンタウンへの道も閉じられているらしい。
『大袈裟な…』
私の名前は■■。
街の路地に座り込んで、走り去る帝国兵を眺め呟いている所、いわゆる不良娘だ。
隣に一緒に座っていた仲間のカヤが恨めしそうに帝国兵を見やる。
「帝国なんて大っ嫌い。何が執政官だよ、野良犬に飼い主が首輪付けに来ただけじゃん。」
と、こちらも朝からピリピリとした雰囲気に私は、呆れ若干疲れ気味。
ダウンタウンに居れば、せめて帝国兵だけでも見ずに済んだのに何故外に居るかというと…、理由は簡単だ。
たんに、余所のグループにケンカ売りに行って、その間にダウンタウンへの入り口が封鎖されてしまっただけ。
そんな訳で、仕方なく外の路地に座り込んで、封鎖が解かれるのを待っている状態。
噂というか、耳にした話だと道具屋のミゲロさんは今夜開かれるパーティーでの食材を取り締まる役を任されているんだとか。
特にする事もなく、ただぼーっとする■■は突然誰かに名を呼ばれた。こんな路地に一体誰だ、と思い顔を上げれば、声の主は■■の知っている奴だった。
『…何か用、ヴァン。』
あまり大きい声で言いたくないが、幼なじみの顔がそこにあった。
「別に。■■こそこんな所でなにやってんだよ、めずらしい。」
『ヴァンには関係ないし。』
「ふーん。ま、どうせお前も締め出されたんだろ?俺もなんだ。」
ダウンタウンから。と隠語を含んだセリフに少しイラッときた。…が当の本人我知らず。ペラペラと1人喋り出す。
そんなヴァンを■■は「あーそう。」、と右から左へ聞き流す。
「それよりさ■■、お前今暇だよな。ちょっと俺に付き合ってくれよ。」
『…は?』
片眉を上げヴァンを見上げるも、それより先にヴァンが座っている■■の腕を引く。
攫われていく仲間をカヤ達はポカン…とした顔で見送るのだった。
──…、
『なっ、なんだよいきなり!どこ行くんだよっ。ていうか手ぇ離せっ!』
「さっき砂海亭でトマジにさ、“モブ討伐”っていうのを頼まれたんだ。」
『それがどうしたっ。』
「なんでもその“モブ”っていうモンスターのせいで今夜パーティーに使う食材がまだ届いてないんだってよ。ミゲロさんも困ってるみたいだし、ちょっと行って倒してこようと思って。」
軽くおつかい程度な言い方をする彼。
なんと自分が引き受け依頼を■■にも手伝って貰おう。という魂胆だったのだ。
『……、…ひ…、一人で行けぇえ!!!』
街中に■■の叫び声がよく響いた。
──…、
『あっ…つー。』
てりっ!と照りつける太陽を睨み、伝う汗を袖で拭う。
嫌だ、と言ったのにヴァンは聞かず、気づけば東ダルマスカ砂漠に■■は居た。
「どこにいんのかなぁ。」
『知るかっ。言って出てくりゃ誰も苦労するかよ。』
嫌味の一つでも言っておかないと気がすまない。
誰かさんのおかげで■■の機嫌は絶不調だ。