ACT.05
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砂海亭へ向かう途中、子供達が駆けていく姿にバッシュは足を止めた。
つられるようにヴァン、アルフィナも足を止めた。
「みんな戦争で親を亡くしたんだ。うちの親はその前にいなかったけど。──2人共、流行り病でさ…」
「すまんな、思い出させて…」
まるで口癖のようにバッシュは謝った。
彼が謝った所で、結局なにも成さない事は分かりきっていた。
…だが言わずにはいられなかった。己の無力が、守るべきものを守れずに至り、こうした孤児が街を駆け回っている現状に。いたたまれない気持ちが彼にのしかかる。
「別にいいよ。もう5年だしな。…それからはパンネロの家族が面倒みてくれたんだ。──でも戦争でみんな死んだ。」
「すまなかった」
また謝ってしまう。
これにヴァンとアルフィナは顔を見合わせ苦笑いした。
「何度も謝るなって。俺だってガキじゃないんだから、もうわかってる。」
『小父様を責めてるんじゃないの。みんな必死で戦ってくれた事、私達もちゃんとわかってるから…。──ただ、だから私達も一生懸命、今を生きてるってことを知ってほしかった。』
“行って来る”と笑顔で戦場へ向かった兄・レックス。
“いい子で待っててね”と頭を撫でてくれた両親。
その時は、まさかこんな風に帰ってくるなんて思いもよらなかった。
たった1人の家族が…、
愛する人達が…、
反逆者扱いされて戻って来るなど考えもしなかった…。
ヴァンは悲しみを忘れるかのようにバッシュを恨み、アルフィナは逃げるように名を変え、屋敷を飛び出し、不良になった。
「兄さんの事は、あんたの所為じゃない。悪いのは…、
──…帝国だ。」
街中に掲げられた、赤い布に黒字の帝国の国旗をヴァンとアルフィナは見上げた…。
「あんたを信じた兄さんは間違ってなかった…」
──…、
「あいつが勝手に誤解しただけだ」
聞き慣れた声が砂海亭の奥から聞こえた。どうやらドンピシャみたいだ。
それと声がもう一つ…、
「誤解だろうが6回だろうがパンネロが浚われたのはあんたの責任じゃないか!」
ん?なんだと!?
そう食ってかかっているのは道具屋のミゲロさんだ。
「おい、パンネロがどうしたんだよ!?」
『今、浚われたって…!!どういう事!?』
「おお、ヴァン、■■!」
無事だったか!、とこぼすミゲロさん。
現れたアルフィナを見て、バルフレアは持っていたグラスを落としそうになった。栗毛色の髪の彼女を思わず凝視する。
隣のフランはその様子に笑みをかみ殺していた。
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