ACT.04
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『正確には…“証拠”ではなく“証人”ですけどね』
あっけらかんとした物言いにウォースラは眉を歪めた。
しかし「聞かせろ」、と冷静に続きを促した。
アルフィナは物語を読み聞かせるように静かに、話し出す。
『あれは2年前…──』
2年前…──
ナルビナでの調印式の日…、
陛下を救うべく共に赴いた妻・アクアをスコールは失った
そして彼もまた瀕死の傷を負い、倒れ伏す
…ちょうどその目の前で陛下が“バッシュ”に暗殺されるのを目の当たりにしたスコール
「バ、バッシュ…っ、」
そんなバカなことを…!!
あいつがするはずない!
ダルマスカの…、王家への忠義が誰よりも厚かったバッシュが陛下を殺すなど
「お、俺は信じないぞバッシュ…!!信じるものかっ」
…閉じていく目蓋、世界の中でスコールは、その間際にあることに気づいた。
──…、
「─傷が無かった、だと?」
ウォースラは信じられない、といった声を出す。
『はい』
少年1人と陛下を刺した“バッシュ”には、あの印象的な額の傷がなかった…、と命からがら逃げ延びたスコールは語った。
──…、
『─父様…!!』
視界が霞んで見える中、娘の声だけがはっきりと聞こえた
体が動かない。まるで鉛のようだ
「っ…アルフィナ、か…」
『はいっ。父様しっかり!』
心なしかアルフィナの声が涙ぐんで聞こえる。…また泣いて、いるのか…
思わずスコールは笑みをこぼした
「まったく…、お前はよく、泣くな」
『ぐずっ…、父様…』
ズキン、と更なる痛みがスコールの体を蝕み、確実に死へと追いやった
…時間が、ない…
「アルフィナ…、よく、聞くんだ…」
『し、喋らないで父様!傷が』
「もう時間が無いんだ!頼む、聞いてくれ…」
懇願するとアルフィナは涙を拭い、力強く頷いた。…まったく頼もしい子だ
「っ!…くっ…。
…いいか、よく聞くんだ…。ナルビナでの、調印式の出来事は聞いたな?」
『はい。ローゼンバーグ将軍が裏切り、陛下を暗殺したと…』
そうだ、とスコールは動かせない体の代わりに、目で肯定する
「だが、それは世間での出来事だ…。真実は他の所にある…、…っ!!」
痛みの波が段々短くなっていく。視覚はもうほとんど機能を失っているようだ。アルフィナの顔さえもうぼやけてわからない…
『真、実…?』
「…そうだ。…陛下を暗殺したのはバッシュではないっ。
あれはバッシュではない!私にはわかるっ」
『そ、それじゃあ陛下を暗殺したのは、一体…』
間際に垣間見えた映像は、しかと両目に焼き付いて離れない
スコールは記憶を掘り起こすように目蓋を閉じた
『と、父様!?』
「“あれ”が誰なのかはわからない。…だがダルマスカのバッシュではない事は確実だ。あの“バッシュ”には、額の傷が無かった───」
『──!!!』
アルフィナも驚愕に息を止めた
スコールが語った言葉をもう一度、心の中で繰り返した
“──あのバッシュには、額の傷がなかった…──”
…と
.