ACT.04
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「さっさと売ろう、こんなもの」
ヴァンにとっても魔石は憑き物でしかなかったようだった。後で聞いたが、盗んだお宝で飛空挺を買うんだ、と豪語してたっけ?
「まぁ売る前にパンネロに見せてやるか。─心配かけたし…。この時間ならミゲロさんの店にいるよな。■■も一緒に来るだろ?」
バッシュの事はひとまず置いておこう。今は心配してるだろう友達の所へ行かなければ。
『うん、行くよ』
と、珍しく■■が素直に頷いて見せた。
多少驚くも、行くか、とヴァンは東門を通り抜けようとした。
『あの、さ…』
少し進めた歩を止める。ふと、■■がぎこちなく話し出した。
「?、なんだよ」
『…その…、…私、やめようと…思うんだ…。』
「なにをだよ」
『ヤンキー。…グループ抜けようと思うの』
「へぇ~…、
…ってえぇ!!?」
思わず大声が出た。
道行く人達がチラリとこちらを向く。…大声出してスイマセン。
「なんだよ急に!!だいたい、俺が言ってもやめなかったくせにっ」
『言われてやめられるくらいなら人間苦労しないって!!』
「う…、それは…。な、なんで急にそんな気になったんだよ…」
不良はやめろ。常日頃ヴァンやパンネロに言われてきたことだった。でもやめられなかった。
暗闇から抜け出せなくなってしまった。…抜け出そうと努力もしなかったけれど。
『バッシュ小父様見てたらさ…、そう思えてきたんだ。…逃げ出さずに前に進もう、って』
「…そっか。まぁやめるっていうんならそれでもいいよ。本当は俺がやめさせたかったんだけどさ」
バッシュに小さな嫉妬心が芽生えた瞬間だった。
ともあれ“足を洗う”と言う■■。これはパンネロだけでなくミゲロさんを始めとする大勢の人に教えなくてはとヴァンは考え始めたのだった。
『ヴァン先行っててよ』
「あぁ、わかったよ。必ず来いよ」
背を向け歩き出した■■。うん、と腕を振りながら返す。
人ごみが徐々に彼女の姿を隠していった。
──こうして奇妙な縁で結ばれた一行はそれぞれの道へ戻ったのだった。
…再び巡り会う事も知らずに…──。
──…、
「──■■っ!!?」
『や!』
まるでお化けでも見るような顔をされた。失礼なっ。
あの後、ヴァンと別れた■■は2年ぶりにヴェスパニアの屋敷に帰った。慌ただしく使用人達によって綺麗さっぱりになった■■はここ、ダウンタウンのいつもの場所にやってきたのだった。
当然、こゆーい(濃い)歓迎をされた■■。
ここは相変わらずだ。
■■はサラシの格好ではなく、まるっきりラバナスタ市民の服装をしていた。ヴァンやパンネロのような市民の格好を。
……そして、何故か…右頬に赤く腫れ上がった痕が。見るからに誰かに叩かれました、というような痕跡だ。
「心配したんだそ!?コノヤロウっ!」
『ごめん』
「ナルビナ送りになったって…!!あたしら…っ」
『うん、心配かけて悪かった』
雰囲気が和やかになる。
ここ数日、ピリピリと張り詰めた空気になっていた。おかげでカイツも訪れられなくて。
■■が帰ってきた事で、また以前のように戻れるんだと思うとカヤは喜ばずにはいられなかった。
…しかし、それも束の間。唐突に■■は真剣な顔をした。
『あのさカヤ…』
「?、なんだよ」
いやだ、聞きたくない…。
カヤは、不意にそう思った。
『帰ってきていきなり、こんな事言うのも悪いんだけどさ…』
「………。」
『私…』
言うな…、そう思っていても■■から目を反らせないでいるカヤ。
和んだ雰囲気はもうない。
■■もまた、肝心な言葉が言えないでいる…。頭の中ではセリフが出来てるのに言葉が出てこない。
『私、さ…、…』
「──言うなっ!!!」
“──グループを抜ける…”
(………──。)
出会いが2つ
別れが1つ…