ACT.04
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「世話になった」
開口で一番にバッシュが言ったのはこの言葉だった。
彼の律儀な性格にバルフレアは肩を竦めた。
見慣れたラバナスタの東門の景色に、安堵のため息を零す。
夕刻近い時間帯であったが、まだ多くの人で賑わいを見せていた。
「俺なら人ごみは避けるね。この街ではあんたはいまだ裏切り者だ」
「反乱軍はすぐに私を見つけるだろうな」
むしろそれが狙いだ。
ラバナスタに潜む反乱軍。今も2年前に使っていたアジトにいるとは考えにくい。…となれば、今のバッシュに反乱軍へ接触出来る方法は1つだ。
「縁があったらまた会おう。─レックスの墓参りがしたい。」
去り際、私とヴァンを見て微笑を向けると、バッシュは颯爽と人ごみの中に埋もれて行ってしまった。…あの堂々とした態度は是非見習いたい。
「脱獄囚なんだからな、当分は大人しくしてろ」
「魔石はいいのか?」
王宮で盗んだらしい、女神の魔石。バルフレアもこれを目当てにしていたらしいが運悪くヴァンに先取りされたんだとか。
「好きにしろ。あれは縁起が悪い」
「後悔してるのよ。あれを狙ったせいで面倒に巻き込まれたから」
『たしかに』
よく考えてみると、なんとも不思議な縁で出会った人達だ。
孤児に空賊に将軍。互いの職業柄、けっして関わることはおろか、会うことなどないはずだろうに。あってもすれ違う程度だ。
人知れず、くすっと笑う■■だった。
「くれるのか?」
冗談半分で聞けばヴァンは魔石を背に隠した。
「俺のだ」
「じゃぁ聞くな。お嬢ちゃんによろしくな」
『もう行くの?』
「あぁ。…なんだ、寂しいのか?」
からかって聞いてきたことはわかっていたが、つい真面目に返してしまう。
『うん…。…少し、寂しいかな…』
「──!、…そこは赤い顔して“違う”って言うとこだろ」
「よかったわね。しばらくラバナスタにいるわ」
フランにいじられるバルフレアを笑いながら、ヴァンと2人で見送った。
…あぁ、いつものラバナスタだ。
懐かしいようでどこか寂しい。
まるでいままでの出来事が嘘のよう。
「なぁ■■」
『ん?』
魔石片手に、ポツリとヴァンが考え込んだ顔で話しかけてくる。
「アイツの事、信じてもいいのかな…」
『こわい?』
「そんなんじゃっ…、……そうかも、しれないな」
『…、わかるよ。』
「…。」
『今すぐ決めなくったっていいと思う…。自分のペースで決めれば。』
「うん…、そう、だよな…」
少なくとも出会った時より、バッシュの事を認めている自分がいるのにうすうす彼も気づいているかもしれない。
ヴァンは視線を下げ、手のひらの魔石を見つめたのだった。
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