ACT.25
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「左腕は…、大丈夫なのか?」
バッシュが遠慮がちに聞いてきた。
以前彼がアルフィナに渡した混乱を防ぐバングルが焼け焦げ切れていたのを見つけた時、また大けがを負ったのではないかと肝が冷える思いだったと言う。
アルフィナは左腕を伸ばし、手を握ったり、離したりして見せた。
『けがはもう完治しています。ただ…、ドラクロア研究所で診てもらった時言われたんですけど、以前のような筋力は戻らないかもしれないと。…生活を送る分には問題はないと言われました。』
「やはりそうか…。それだけ魔人の召喚はリスクが高いんだな。」
『残念ですよね。せっかくアーシェがくれた力なのに。使いこなせないなんて…。いっそのことアーシェが持っていた方が良かったのかもしれない…。』
「そう気を落とさないでくれ。アーシェ殿下もわかってくださる。君が持っているということが何より信頼の証なのだから。」
『信頼、か…。私は…彼女を支えられているでしょうか?』
「もちろんだ。ブルオミシェイスで迷わず君を奪い返しに帝都に行くとおっしゃったのだ。」
ついでに破魔石をつぶすつもりだったそうだが。
これについては不発に終わってしまった。
するとバッシュはアルフィナの手を掴み、なにかを乗せた。
『これは…、』
「以前渡したものは焼き切れてしまったからな。新しい物を用意していたのだ。」
『もしかして混乱を防ぐものですか?』
バッシュは頷く。
それをアルフィナは嬉しそうに左手に着けた。
いろんな角度からそのバングルを眺める。
『これでまた一安心です。ありがとうございますっ』
はじけるような笑顔にじんわり胸が温かく、心が満たされていくのがわかる。
あぁ、本当に自分はこの人を“愛してる”のだと…。
「アルフィナ…」
『はい?』
「――愛してる。」
まるで息を吸うように。
無意識にその言葉が口から出ていた…。
それをアルフィナはぴたっと固まってしまい。
そよそよと海風が彼女の髪を優しく撫でる。
『お、小父様…、今、なんとっ…』
「すまないっ。言うつもりはなかったんだ。口が勝手に…」
滑った、というのだろうか。
口を押さえてそっぽを向いてももう手遅れ。みるみるうちにアルフィナの頬が紅潮していく。
『わ、私…っ、えっと…』
言葉が出てこない。喋り方を忘れてしまったように。喉の奥でなにかがつっかえてる。
なにか答えなければ。
言葉をつまらす彼女に気を使ってか会話を切り出そうとする。
「以前ブルオミシェイスへ行く途中の野営でした話を覚えているか?」
『はい…、アーシェとパンネロと小父様とで、』
「そのときの君が言った言葉がずっと胸に残っていたんだ。あの時の言葉に私は救われた。…誰かを愛することは素敵な事だと…。」
それがどんな相手であれ。
あの時の言葉がなければ今頃もっと苦しんでいたに違いない。アルフィナのへの不相応な想いを抑えて抑えて。
『“愛してる”と言われるのは嬉しいことだと私…言いましたね。でもそれがまさか…』
自分に向けられるなんて思わなかった。
声が、手がだんだん震えだす。
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