ACT.02
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帝国兵の警備をすり抜け、ひたすら着いていくとジャッジ達はある場所で立ち止まった。
続いて■■達も隠れるようにして立ち止まり、ジャッジ達の様子を窺った。
どうやらジャッジの目の前にある扉がさっきフランが言ってた強力な魔力でロックされた扉のようだ。
側には魔導師らしき人が一人。ジャッジに帝国流の敬礼をすると、背を向けなにやら詠唱し始めた。
『あんな厳重な警備をするほど…。一体誰が捕まってるんだ?』
「さぁな。だがはっきりしてるのは俺達には関係無いってことだ。」
それはそうなのだが。
あっさりしたバルフレアの返答に、微妙な顔をして軽く眉を曲げる■■だった。
解除された扉をジャッジは入って行く。■■達も後を追うよう中に忍び込む。
中は意外と広かった。…と、いうより何もなかった。ただ、宙吊りになった鳥籠のような牢が一つ。暗い空間に浮かんでいるだけ。
牢の中に誰か居るらしいが■■達がいる所からは顔は見えなかった。
『良く見えないな』
「おい、あんまり顔出すな。見つかる」
、とバルフレアに注意され、■■は渋々顔を引っ込めた。
おかげで何も聞こえないし、見えない。
ただ、最初に…、
「少し痩せたな、バッシュ」
という、ジャッジの声が聞こえただけで。
『……。』
幻聴…だろうか。今、信じられない名前が聞こえた。─今、ジャッジが牢の中にいる囚人に向かって言ったのだ。
一瞬、呼吸の仕方を忘れてしまった。
おそらく隣にいたヴァンにもその名が届き、自分の耳を疑っただろう。
…バッシュ…。
正しくは“バッシュ・フォン・ローゼンバーグ”。
バッシュ…、と、もう一度心の中でその名を繰り返す。その度に心臓が激しく脈打ち、それは思考を停止させようとするほどで。
脈打つ血潮は、まるで体内を逆流するような激しさ。
何故今になってその名を耳にすることがあるのだろう。
頭の中で■■は悶々と考える。すると、突然バルフレアに額を小突かれた。
いてっ、と我に返れば、いつの間にかジャッジ達は居ないし、おまけにヴァン達にも置いていかれてることに気づく。
「ここか?」
と、囚人がまだその場にいることを気にも止めず、物陰から出るバルフレアがフランに聞く。
「誰だっ」
気配に気づき、囚人が問いかけて来るも、まるで無視。
「えぇ。微かにミストを感じるわ。きっとどこかに繋がっているはず…」
宙吊りになっている牢の下、底の見えない穴を覗くバルフレア。
■■とヴァンは恐る恐る、といった足取りで牢へと近づいていった。
頭が激しく混乱しているのが自分でもわかる。
一体何故…、
彼は…、バッシュは二年も前に処刑されたはずだ。
国を裏切り、ラミナス陛下を殺した罪で。
行き場のなかった怒りがじわじわと込み上げ、それは牢の中にいる囚人に向けられた。
「帝国の人間ではないな…。─頼むっ、私をここから─」
「あいにく、死人とは関わらん主義でね。国王暗殺犯なら尚更だ。」
「違う!私ではない!」
「そうなのか?ま、どっちでもいいさ、」
要は関わり合いたくないだけ。バルフレアは本気で囚人こと、バッシュを助けるつもりがないようだ。
バッシュもそれを悟ったのか、バルフレアから視線を外し、こう着状態にいる■■とヴァンへと向けた。
─ドクンッ…!!
『──…っ!!』
視線が交わる。
一段と激しく心臓が脈打った。
暗殺犯なのに…、
裏切り者のはずなのに…、
私から全てを奪った張本人なのに……!!
──どうしてそんな瞳(め)をしているの……?
ひたすら真っ直ぐに見つめてくるバッシュに■■は無意識に一歩引いてしまう。
「頼むっ、出してくれ。ダルマスカの為だ」
そのセリフがヴァンの堪忍袋の緒に火を付けた。