ACT.17
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神殿の奥へと進むと、静かに佇む老人が1人。
アナスタシス大僧正だ。
アーシェとラーサーが前に出る。
「………」
「………」
「…寝てないか?」
『しっ』
目を閉じたまま動く気配がないアナスタシスに、我慢出来ずヴァンが口を開いてしまった。
「なに、眠っておるようなものよ」
どこからか声が響いた。
それは紛れもなくアナスタシスのものだが、彼は先程から一切動いていない。
これも魔法の一種か。と自分を納得させることにした。
「夢をみておる。夢幻と現世は表裏の一重を成すものゆえに。夢は真を映す鏡よ。」
「アナスタシス猊下、私は…」
アーシェが1歩前に出た。
「語らずともよい。ラミナスの娘アーシェ、そなたの夢をみておった。“暁の断片”を手にするそなたこそ、ダルマスカの王位を継ぐ者。王国の再興を願うそなたの夢、私にも伝わっておる。」
「それでは、大僧正猊下。アーシェ殿下の王位継承は…」
「おーっとそいつは、あきらめてもらえませんかね。」
アーシェに並ぶように前に出たラーサーを、誰かが遮った。
声のした方を振り返ると、そこには見たことのない男女が。
『…誰?』
思わず声に出してしまったアルフィナを横目に見つつ、男は前へと歩み出た。
「よお、皇帝候補殿。呼び出されてやったぞ。」
独特な声を持つ男にラーサーは近づき握手を求めた。が、男はその手を無視しラーサーの頭を撫でる。ラーサーはその手を嫌そうに振り払った。
「彼に会わせたかったんですよ。この人、これでもロザリア帝国を治めるマルガラス家の方なんです。」
「ははっ、山ほどいるうちのひとりですがね。私だけじゃ戦争を止められないんで、ラーサーに協力を仰いだってわけで。」
その男は演技がかった仕草でサングラスを外す。それを横に控える侍女に渡した。侍女は慣れた仕草でそのサングラスをしまう。
『苦手なタイプ…』
「同感だ。」
アルフィナとバルフレアの会話なんておかまいなしに、男は自己紹介をアーシェに向けてする。
「アルシド・マルガラスと申します。アーシェ殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅう。」
アルシドはアーシェの前に跪くと、アーシェの手の甲にキスをした。
パンネロは顔を赤くして口を押えているし、バルフレアは腕を組んで面白くなさそうにしている。
「ダルマスカの砂漠には、美しい花が咲くものですな。」
そう言うとアルシドは一行の女性陣の方をちらりと見て、小さく笑顔を向けた。その視線はもちろんアルフィナをも捉えていて。
ばっちり目が合い、うっ、と思わず声が出たアルフィナは咄嗟に横にいたバルフレアの後につい隠れてしまう。
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