ACT.15
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ダルマスカと帝国の友好、ですか。」
賑やかに先頭を歩くヴァン達の後方をアーシェ達大人組があとに続きながら、バッシュはアーシェから聞かされた話を繰り返した。
「頭ではわかっているの。今のところ大戦を防げる唯一の手段だわ。……でも、私に力があればそんな屈辱──!」
手を握りしめ、悔しそうに顔をしかめるアーシェにバッシュは言った。
「我々にとっては恥でしょう。しかし民は救われます。」
「あなたは受け入れられるの?」
アーシェはバッシュを見つめた。
かつては裏切り者として見ていた彼だが、いつしかアーシェにとってもっとも頼りになる存在なっている今、彼の言葉には説得力がある。
時に意見を言い、時に支え、最後には彼女を守ってくれる。誰よりも信頼出来る存在になのだ。
「私はヴェインに利用されて名誉を失いましたが……今なお騎士の誓いを忘れてはおりません。 人々を戦乱から守れるのであれば、どんな恥でも甘んじて背負います。国を守れなかった恥に比べたら…、」
そう言ったバッシュの目は遥か遠くを見ていて、まるで昔を思い出しているように。
「みんな帝国を憎んでいるわ。受け入れるはずがない。」
「希望はあります。あの様に手を取り合う未来もありえましょう。」
アーシェとバッシュの視線の先は、まるで昔からの友のように笑いあうヴァンたち。それは戦争が始まるかもしれない時に見せる笑顔ではなく、この旅すらも楽しんでいるような、そんな笑顔だった。
遠くからヴァン達を見つめるアーシェの表情が少し和らいだ気がしたバッシュだった。
*
オズモーネ平原を横断した一行は目前に迫る大樹の森林“ゴルモア大森林”の入り口へと辿り着く。
「ここに入るのか?ちょっと気味悪いな」
『薄暗いね』
「ゴルモア大森林。古くからの姿を保っている森よ。」
少しばかり怖じ気づいたヴァンとアルフィナにフランが言う。
「ねぇアル上を見て。天井がある」
『天井?』
パンネロに言われ、上を見上げるとそこには太陽の光をも遮る程に成長した樹の枝葉が生い茂っていた。
ゴルモア大森林は太陽の光が森の奥深くまで入ることがなく、そのせいで樹が生い茂り、独自の成長を遂げた植物が根を広げ太古からの森林だということを主張していた。
しかし、そのせいで旅人が通る道は薄暗く、唯一の頼りはほんのり街道を照らす魔石の灯りのみ。
森というのを初めて体験するヴァン、パンネロ、アルフィナ。
ラバナスタの乾いた空気とは違うひんやりをした森の風に感激の声を溢した。
「なんだこれ。」
曲がりくねった樹の幹の道を進む一行の前を不思議なものが立ち塞がった。それは道を塞ぐ青白い結界のようなもの。
『なにかしら。感じたことのない不思議な力の気配がする。』
それはミストや気配といった不確定なものに敏感なアルフィナですら体験したことのないものだった。
「ゴルモアの森が拒んでいるのよ。」
結界を前に戸惑いを見せる一行フランが言った。
みんながフランを振り返る。
「私達を…?」とパンネロ。
「私を、かしらね──、」
いつも不可思議な言葉残すフランが今日は特に理解出来ない言葉を残し、バルフレアとともに道を引き返し始めた。
「なにそれ。ていうか、どうすんだよアレ」
ヴァンの疑問をスルーするフランの後を一行も着いていく。
.