ACT.15
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ガリフの里で一夜を明かした一行。
橋の上で待つラーサーのもとへ行き、アーシェが下した決断は共にブルオミシェイスへ行く、というものだった。
それはすなわち旅が続くということである。
嬉しそうにするラーサーにアーシェは歯切れの悪い声で言った。
「まだ心を決めたわけではないのです。向かう間に答えを見つけます。」
「会ってほしい人がいます。ブルオミシェイスで落ち合うことになってるんです。」
「誰です?」
不思議そうに聞くアーシェにラーサーはイタズラっぽく笑うだけで、答えてはくれなかった。
「敵ですが、味方ですよ。あとは会ってからのお楽しみです。」
『敵だけど味方って…一体誰?』
検討もつかないラーサーの言い方に首を傾げた。
足軽に歩き始めたラーサーの後ろ姿を見ながらヴァンはどこか嬉しそうに言う。
「ああいうとこあるんだよな。」
「悪気はないのでしょうね。」
アーシェもラーサー自身のことは嫌いではないらしい。
先を行く自分より小さな背中を微笑んで見ていた。
『不思議よね、ラーサーって』
「いい奴だよ。帝国なのにさ」
『まだ12歳だっていうのに…。自分の国の事だけじゃなく他の国の事まで考えて…』
まったくたいした12歳児である。
ヴァンも鼻の下をこすって頷いたのだった。
ラーサーに続いてヴァン、アーシェ、アルフィナも歩きだす。
「神都ブルオミシェイスはヤクト・ラムーダの北部だ。ヤクトに入れば飛空挺での追撃は避けられるか。」
ヴァン達のやり取りを遠目で見ていたバッシュがバルフレアに問うた。
「望み薄だな。リヴァイアサンはヤクト・エンサを飛び越えて直接レイスウォールの墓に乗りつけた。」
ラーサー、ヴァン達に続いて歩みを進めるバルフレアの背中をバッシュは見る。
「ヤクトでも飛べる新型飛空石。───可能にしたのはどうせ破魔石だ。ったく、やつらが必死に狙うわけだよ。」
ぼやくバルフレアにバッシュはなお疑問を投げ掛ける。
「それでは君こそなにが狙いだ。同道してくれるのは心強いが、」
「破魔石を奪うつもりじゃないかって?まぁ、仕事柄疑われるのは慣れてるが、今はそんな気持ちは欠片もない」
何なら剣にでも誓おうか?と冗談めかしに言うバルフレアにバッシュはふ、と息をつく。
「──すまん。殿下は君を頼っている。真意を知っておきたかった。君が石にこだわっているように見えてな。」
すまなさそうにバッシュはバルフレアから顔を反らした。
その視線の先はラーサーとじゃれあうヴァン達。
そして、自分が仕える主・アーシェ。
楽しげなヴァン達の傍らで静かに微笑んでいた。
「俺を頼っている…ってか。そんなことあいつが聞いたら悲しむぜ。」
「悲しむ?」
少し鈍いバッシュはバルフレアが言う“あいつ”とやらがわからなかったようで。もちろん“あいつ”とはアルフィナのこと。
何でもない、と話を変える。
「物語の謎を追う。──主人公なら誰でもそうだろ。」
いつものおちゃらけた言葉を残して歩き始めたのだった。
「なぁアル、」
『ん?』
唐突にヴァンが話しかけてきた。
「昨日バルフレアのやつとなに話してたんだ?」
『えっ…──、』
「あ、あたしも見たよ!2人っきりでいるとこ」
『えぇ…!?』
ヴァンだけでなくパンネロまで会話に加わってきて。
なんだか2人のニヤニヤした顔にアルフィナは少しばかり恐怖を覚えた。
一体、どこからどこまでのシーンを見られていたのだろう。
頭の中でぐるぐると駆け巡る。
「珍しいなって思ってさ。なに話してたんだよ」
『そ、それは……っ』
言えるわけがない。
一世一代の告白をしてました、なんて。
只でさえ、また旅が始まろうとしていて、さらにバルフレアまで同行することになっているのだ。
昨日の夜の事が鮮明に浮かび上がり、気まずさMAXなのだ。
そこへパンネロのトドメの一言。
「あたし、アルのこと応援してるからね!」
『はぁっ!?』
「応援ってなんだよ」
鈍感なヴァン君はさておき、いやいやと私は顔を左右に振るう。
『パ、パンネロさん、一体なんのことでしょうっ』
「もうとぼけちゃって!バルフレアさんとのことに決まってるじゃないっ」
最後のほうはヴァンには聞こえないようにこそっと言ってはくれたけど、とんでもない爆弾発言だ。
「頑張ってね!」
そう言ってガッツポーズをするパンネロに私は愚かにも墓穴を掘ってしまう。
『別にいいのもう!終わったんだから!』
あ…。
「…え?、終わったっ!?むぐっ」
『きゃーパンネロ!』
私は慌ててパンネロの口を塞いだ。
ラーサーとアーシェも、終わった?っと繰り返し不思議そうにアルフィナを振り返る。
「どうして!?終わったって、なんで…」
『だからそのまんまよ。もう終わったの。確かに彼の事は好きだったけど、もういいのよ 』
「そんなぁ…」
明らか気落ちするパンネロに申し訳なくもなったが、すでに終わったことだ。自分自身納得もしてるし、後悔もない。
あとは前に進むだけ。
そもそも何を期待していたのやら。
そう伝えればパンネロもわかった。と頷き、この事は内密にすると約束してくれた。
.