ACT.14
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さらさらと流れる小川の音。
風に揺れる草葉の柔らかい音。
夜に鳴く虫たちの声。
たった数秒。
私とバルフレアの時間が止まった気がした。
その無言の数秒がとても長く感じられた。
「……なに?」
『バルフレアが好き。1人の男性として、好いています。』
珍しく目を見開いたバルフレア。
返事に困ってるようだったので、アルフィナはいつものようにけろっと笑って見せた。
『別に返事が欲しいとか思ってないから安心して。』
「……。」
『……ただ、戦争が始まってしまったらもうこんな風に会うことも出来なくなるんじゃないかって思ったら、今のうちに伝えておきたくて、』
「そうか…。」
そういって黙り込んでしまうバルフレア。
まさかの告白にどう返せばいいのか迷っているようだった。
『それだけ伝えたくて探してたの。あーすっきりした。』
「アルフィナ……」
『ありがとう。聞いてくれて』
じゃ、おやすみ。
そう言って涙が今にも溢れそうな顔を見られたくなくて、足早にその場を去ろうとするアルフィナ。
するとすれ違い様、力強く腕を捕まれてしまいなんとバルフレアに抱き締められる形となった。
『バ、バルフレア…!』
「なんで泣く。」
『──っ!』
バレてた。
耳元で囁くバルフレアはより一層力を込めて##NAME2##を抱き締めた。
近くで聞こえる彼の声に顔が一気に赤みを刺す。
きつく頭を抱え込むように抱き締めるのは彼女の泣き顔を見ないためか、その優しささえも涙がさらに溢れる。
『う…っ、』
「アル…。」
『わ、私は…、
いずれダルマスカの騎士になる人間で、バ、バルフレアは空賊で…』
「あぁ。」
途切れ途切れ、言葉にするアルフィナにバルフレアは静かに耳を傾けた。
『私がいくらバルフレアのことを好きだと想っても、決して叶う恋じゃないことに気づいたから…。
だから叶えたい恋じゃなかった。でも、それでも好きなのっ』
好き、なのだと気づいてしまったから――、
それと同時に叶うことのない恋だと気づいてしまったから。
余計な期待を持ってしまう前にあなたにフラれておきたかった。
心残りなく、前に全力で進むことが出来るように。
だが、芽生えたばかりの小さく淡い恋心。
きっとこれが恋だと気づくほどの想いはバルフレアが初めてだろう。
だからいろんな思いが溢れて辛くて涙が流れた。
『バルフレア…』
「なんだ、」
『もう少しこのままでいて…』
「あぁ…。」
叶えたい恋じゃない。
それでも、あなたが好き。
もう少しだけこの気持ちを胸に秘めたままでもいいですか──…。
*
翌朝──…。
「共に行きます。ブルオミシェイスへ」
まだ日が登りきらぬ時間、アーシェが一番に口にした言葉だった。
「そう言ってくださると信じてました。」
嬉しそうに微笑むラーサー。
数奇な運命で旅を始めた一行に新たな旅の始まりを告げる1日がスタートした。
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