ACT.14
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『戦争……。』
自分が経験した戦争は2年前のナルビナ戦役が初めてである。
あの時は父と母の帰りをひたすら待ち続けた。
だが、今度は帰りを待つのではなく自ら戦場におもむき戦うのだと、なぜか考えてしまう。
守りたいものがあるから──…。
ヴァンやパンネロ、カイツ達ダウンタウンの子供たちに道具屋のミゲロさん。
砂海亭のトマジ、それに昔の仲間たち……。
2年前の時とは違う自分がいた。
『バッシュ小父様も戦争に行くよね、きっと…』
そりゃそうだ、なんて自己解決。
だって今のアーシェには小父様だけが頼りなのだ。
……、そう。バッシュ小父様だけが。
『私はまだまだ頼りないな…。もっとしっかりしなきゃ。』
夕暮れ迫るガリフの里で戦士たちが自分たちにと用意してくれた宿泊所へと1人向かうアルフィナ。その背中はどこか淋しげであった。
*
日が落ち、暗くなると久しぶりの客人にガリフ族の戦士たちが酒を片手にヴァン達のもとへと集まりだした。
『これもお酒?』
「これはナンナのミルクだよ。お酒じゃない 。」
『あら、ありがとう。』
そう言って器を受けとるアルフィナ。
1人で考えたいと言い、離れたアーシェとめんどくさそうに居なくなったフランを除いた一行はこのもてなしを甘んじて受けることにしたのだ。
ふと周りを見渡せば、バルフレアと酒を交わすバッシュ。
その反対を見れば、ガリフの戦士と腕相撲するヴァンに見守るパンネロ。
賑やかな音楽が流れる空間をアルフィナは笑って眺めていた。
「こんなに賑やかなのは生まれて初めてです。」
『そう?楽しい?』
同じくナンナのミルクの入った器を持ったラーサーが隣に腰掛ける。
その顔は12歳に相応しい笑顔だった。
「はい、とても。」
『それはよかった。帝都では体験出来ないことよね』
はい、と無邪気に答えるラーサーにかわいいなぁなんて姉目線で見ていたアルフィナは自分の飲んでいた器とは反対の器を手にし、ニコニコ笑いながら“それ”を口にしたのだった。
『───……うっ、』
「?、──アルフィナさん!」
*
「ん?」
「どうした、向こうが騒がしいな。」
わぁ!とひときわ大きい声が聞こえた気がして、視線を向けた。
すると慌てたラーサーがこちらへ駆けてくるではないか。
「バ、バッシュ将軍!」
「どうした?」
慌ててバッシュの元へ来たラーサーに落ち着くように声をかける。
「あの…!アルフィナさんが…っ」
「アルがどうした」
「その、ナンナのミルクを飲んでたんですが、器を間違えてお酒を……」
その続きは容易に予想が出来た。
要は彼女が間違って酒を飲んでしまいなにかやらかしたのだろう、と。
ひときわ賑わいを見せる集まりの中に彼女はいた。
バッシュはすぐ見つけるも、その場で立ち尽くしてしまう。
この空間を彩るように奏でる音楽の中で彼女は軽やかにその身を踊らせていた。
「……。」
顔を火照らせながら、指先まで優雅に舞う姿に思わず見とれる。
その姿を遠くからバルフレアも見えていて、少し心を妬かせていたのだった。
彼女が踊るとこを見たのは自分だけで、他の者には見せていないだろうと鷹をくくっていたが、その可能性も消えてしまった。
アルフィナの踊りを食い入るように見つめるバッシュ。
しかしそれもつかの間、彼女の足が酔いでもつれはじめ、転びそうになる瞬間バッシュは我に返りすぐさまアルフィナのもとへと駆けていく。
「アル!」
『はいー…、』
はぁ、と思わずため息。
すでにまぶたが半開きの彼女を抱え、バルフレアがいる所へ引き上げてきたのである。
「少し目を離すとこれだ。」
『う~…、』
もはやバッシュの声など耳には届いていないだろう。
ラーサーも申し訳なさそうに謝るのだった。
『目が回る~…』
「どれほど飲んだのだ?」
「一口ほど…」
酔っ払いのアルフィナに変わってラーサーが答えた。
まじかよ…と呟くバルフレア。