ACT.14
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ラバナスタを出て5日。
ガリフの里、ジャハラにアルフィナ達は足を踏み入れた。
「『うわっ。仮面だらけ』」
これが今回のアルフィナの開口一番である。
だが今回はヴァンも一緒になって同じ思いだったようで無意識にハモってしまったことにお互い嫌そうな顔を向き合わせた。
「なぁに?2人して同じこといって」
『た、たまたまよ』
「そうそう!“今回”だけだって」
パンネロに笑われたアルフィナとヴァンは全力で否定しあう。
“こいつと一緒にされてたまるか…!”
と。
この思いが2人の胸の内を埋めるのだった。
ガリフの里は入り口前に川が流れているため橋が掛けられ、その橋の前をガリフ族が立ち塞がっていた。
「なんだ、お前達?ここはガリフの住む里だ。ヒュムの子供が訪ねてくるような所ではない。」
訝しげに一行を見下ろすガリフ族にアルフィナ達は自然とその巨漢を見上げた。
「彼らはただの旅人だ」
後ろから聞こえた声に背後に目を向けると、もう1人別のガリフ族の男が戻ってきた所だった。
『あ、あの人はさっきのガリフ族の…』
「彼らがオズモーネを越えてきたのを見た。かなり腕の立つ戦士なのだろう。平原の魔物にも全く動じていなかった。特に、そちらのお嬢さんの戦いっぷりは見事だったぞ。」
“そちらのお嬢さん”と指したのはアルフィナのことのようだ。
思わぬ指名にアルフィナは顔を赤くしてちょうど隣にいたバルフレアの背に身を隠す。
そんな彼女の行動にバルフレアはふっと笑みをこぼす。
「……戦士長、またひとりで平原へ?」
「……、」
見張りに戦士長と呼ばれた男はバツが悪そうに沈黙した。
表情は仮面を付けているため、分からないがきっと気まずそうな顔をしているに違いない。
「…ガリフの地に何か用があるのか?」
戦士長の問いにヴァンが頷いた。
「通してやってくれ。責任はすべて、私が持とう」
そう言って戦士長は1人、先に橋を渡って行った。
「戦士長がそういうなら…」
「…というわけでお前達、入っていいぞ。ここのところヒュムが何だかよく来るな。」
ガリフの地、ジャハラ───………
初めて訪れた地にアルフィナは立ち止まり、辺りを見渡した。
行く人、行く人皆体格が大きくギーザ草原やオズモーネで遭遇した彼れらを見て身長が高いだろうと予測はしていたが、実際目の前にするとその体格は年長者であるバッシュをゆうに越え、2mはあるのではないかと思わせた。
『さすがガリフ族って感じね。』
「そうだね。なんだかみんな怖そう…」
ガリフの戦士たちを尻目に少しビビり気味なアルフィナとパンネロ。
そんな2人にふと影がおおった。
『…!』
「またヒュムのお客さんかい?最近よく来るな。なにかあったのか…」
「こ、こんにちは…。」
体格のわりには気さくに話しかけて来た彼れらに今度はギャップで尻込みするのだった。
ビビるアルフィナとパンネロをよそに勇者が1人。
「なぁ、破魔石のこと教えてくれよ」
直球過ぎるって。
…ヴァンだ。
こういう時の彼の怖いもの知らずな性格が羨ましかったりする。
「我らは魔石の事は語り継いでいるが、破魔石というのは聞いたことがない。長老方に聞けば何か分かるかもしれん。」
『そうですか。訪ねてみます、ありがとう。』
と、言われたもののこうも仮面だらけでは、どいつが長老とやらなのかわかるはずもなく。
仕方なく別れて片っ端から話しかけ始めた一行。
『長老様はどこ?』
「おや。まだ会ってないのかい?」
『ん?会うの2度目かしら』
「3度目だよ」
『………。』
もう頭が痛くなりそうである。
他のメンバーも苦戦しているらしく、ようやく長老様とやらに会えたものの、破魔石のことは自分も知らないと言われ、さらには最長老様なら知っているかもなどと言われてしまい、まさにふりだしに戻る状態であった。
「長老のさらに上がいるのかよ」
『やっと会えたと思ったらこれよ…。』
ぶつぶつグチるヴァンとアルフィナ。
どうにかこうにか最長老様とやらがいらっしゃる集落の奥地、まさに偉い方がおりそうな建物へ一行はたどり着く。
破魔石“ 暁の断片”を手に神妙な面持ちで先頭を歩くアーシェの後を追いながら不安に襲われる。
もし、アーシェが破魔石の扱い方を知ってしまったなら… 、と。
ガリフの地の集落の奥地。
小高い丘の上に静かに佇む住まい、というよりも集会所という方がしっくりくるその場所で、ガリフ族の最長老《ウバル=カ》が一行を待っていた。
年寄りらしい小柄な体格、しわがれた手と浮き出た血管。
そして、その者から放たれる長老方を上回る最長老独特のオーラにアルフィナ達は緊張のあまり、思わず息を飲んだ。