ACT.02
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水路を出るとヴァン達が待ち受けていたのは重い鉄の手錠と、ダウンタウンに住まう野次馬達だった。
野次馬達の間で、「盗賊…」、という言葉が飛び交う。おそらくはヴァン達を言っているのだろう。
「私が盗賊だと…!?」
「暗殺者より罪は軽い」
隣で返すバルフレアを睨みつけ、アマリアは一人、帝国兵に連れて行かれた。
「─止めて!ほんの出来心だったんです!許して下さいっ!!」
野次馬を掻き分け、やってきたのはパンネロだった。気を失っている■■と手錠に繋がれているヴァンを見て、一瞬息が止まった気がした。
なのに、本人はいたって平然で。
「悪いパンネロ!おごりはまた今度な!」
「…バカ…っ。」
あふれそうになる涙を必死にこらえた。
絶望に近い心境で、ヴァンの笑顔がパンネロの目に焼き付く。
「貴様っ!」
「!!、止めてっ!」
ガツン、と帝国兵に殴られ、気絶してしまったヴァンに近寄ろうとするパンネロの前にバルフレアが立ち塞がった。
そして、そっと差し出された一枚のハンカチ。
「これを預かっといてくれ。あのバカ二人を連れ帰るまで。」
「……、」
差し出されたハンカチをつい受け取るパンネロ。
そのまま何も出来ず、ただ帝国兵に連れて行かれるヴァンと■■を見送るのだった…──。
──…、
「─……頼む…っ、わ、私の代わりに、…彼を助けてやって、くれ…。彼は…無実だ…っ」
『父様…っ、』
「頼むっ…!私の…命の恩人なんだ…、」
『……はい…。─はいっ、父様。必ず…、』
──…頼んだ、ぞ……──
──…、
『───‐‐…っ!!!』
夢は、途絶え、■■は現実へと覚醒した。
─ドクンッ…、ドクンッ…、
心臓が早鐘を打ち、暑くもないのに、汗が滲み出てくる。イヤな汗だ。
寝起きと、悪夢が重なって視線が定まらず、宙をさ迷う。
■■は、必死に己の心に「落ち着け…」、と唱え続けた。
今一度、目蓋を閉じて深呼吸をすれば、頭も冷めてくる。
「─よぉ。目ぇ覚めたかよ。」
『─…!?、…バルフレア…、』
後ろからした声に振り向くと、さっき知り合った男の顔があった。
一人、瓦礫に腰掛けている。
「あぁ。…ずいぶんうなされていたようだが…?」
『…夢…見てた…。多分…。』
「いい夢だったか?」
と、冗談めかしに言うセリフに■■もまた冗談でこう返した。
『─あぁ…。懐かしすぎて涙が出るくらい…嫌な夢をな。』
…と。
それよりも…、と■■は今自分がいる場所を見回した。砂地(というより殆ど砂埃)の地面にコンクリートの壁。無機質な造りの建物は、まるでここは牢獄だ、と言っているようだった。
視線を少し下に、下げれば腐敗を通り越して、干からびた死体が転がっていた。おそらく生前はバンガ族と呼ばれていたであろう。
「あんたは驚かないんだな。」
『…どういう意味だ?』
「そのまんま、だ。ヴァンは“それ”を見て腰抜かしてたぞ。」
『そう…。』
と、もう一度死体を見た。確かに全く驚かない自分がいる。なんでだ…?
あぁ…、多分きっと…、
『…、未来の自分の姿と重なるからかな…。』
「……お前…。」
道端に転がる虫の死骸と、未来の自分の姿と重ねるように。
この、いつ死んだかわからないバンガ族の姿を自分と重ね合わせるように…──。
意外にも冷めたセリフを呟く■■をバルフレアは目を細めて見つめていた。
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