ACT.13
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さぁ行こう、とウールゲーターに背を向けた瞬間、気配が変わった。なんだ、と後ろを振り返ると先程のウールゲーターが赤黒く変色し怒りを露わにしている。そして、その怒りの先が──、
『仮面?』
「あれがガリフ族よ。」
独特な仮面と武具を一式装備した男がウールゲーターに立ちはだかる。
首を傾げていて見ていたアルフィナにフランが答えた。
あれが…、とフランに向けていた視線をもう一度ガリフ族の戦士に向ける。
ガリフ族の戦士は巨体のウールゲーター相手に怯むことなく蹴りをくらわせ、魔法を放つ等、戦い慣れた雰囲気をアルフィナ達に見せつけたのだ。
「彼等は仮面を付けたまま一生を過ごす。」
『えぇ!?一生っ!?』
フランの豆知識にバルフレア以外がアルフィナと似たような反応をしてみせた。
全員の視線が自然と男の方向へ。
すると、ウールゲーターを難なく倒したガリフ族の戦士。今度はハイエナと対峙していて、そのハイエナもまた“赤黒く”変色して見せたのである。
『ねぇ、あれってなんなの?』
「あれは狂戦士っていう状態だ。ああなると我を忘れて攻撃だけをするようになるらしい。しかもいつもより攻撃力が上がるって話だ。」
アルフィナの問いに今度はバルフレアが答える。
『ふ~ん…。?、でもそれって逆に不利になるんじゃ…』
「鍛錬…、のつもりだろう」
と、バッシュ。
『その狂戦士っていうのは私達人体にも影響するの?』
「あぁ。だが戦闘後は激しい疲労が伴う。しかも攻撃ばかりと言っても敵だけというわけではないんだ。」
『味方も攻撃するって事?』
「自我が奪われるからな」
バルフレアは肩をすくめて、そう言った。
『あんまり良いもんじゃないんだね』
「アルフィナ、あれは状態変化よ。」
とフランが通りすがりにアルフィナに呟いて見せる。
狂戦士を別の何かと勘違いしていそうなアルフィナへのフランなりの気づかいである。
狂戦士は毒と一緒。
今日は、…というより今回の旅は学ぶ事が多そうだ、とアルフィナは思うのだった。
そしてもう一度ガリフ族の戦士を見るとハイエナを倒し終え、新たな敵を求めてアルフィナ達の視界から去っていったのだった──。
──…、
『晴れてる!』
ギーザ草原を抜けてオズモーネへと入ったアルフィナの開口一番。
素晴らしいかな。
太陽の有り難みを生まれて初めて感じた瞬間だった。
そよそよと一行の頬を優しく撫でる風がこれほどに心地いいと思った日はないだろう。
アルフィナ達が訪れたここオズモーネ平原はダルマスカ地帯とバンクール地方を南北に繋ぐ草原地帯である。
柔らかそうな芝生を見ていた一行は雨を吸い込んだブーツを脱ぎ捨ててしまいたい衝動に駆られながらも草原を進んだ。
すると、そんな彼等の前にモンスターが草陰からひょこひょこと現れる。
『あ。』
オズモヘアである。
しかし、ギーザ草原にも似たようなのがいたのでアルフィナには区別がつかなかった。
『かわいい!しあわせうさぎ、だったっけ?』
「いや、それはオズモヘアだ。少し似てるが…っておい!」
質問しておきながら、答えそっちのけでアルフィナはおいでー、とオズモヘアを手懐けようと(…)手を伸ばしていた。いくら見た目が愛くるしくてもモンスターである。彼女の奇怪な行動に驚き、バルフレアが止めようとした瞬間───、
パクッ
『あ。』
「あ、じゃねぇだろ!アルフィナ!」
言ったそばからオズモヘアに手を噛まれ…
『待って。この子噛んでないよ。』
「は?なんだと?」
『私の手、舐めてるだけ』
オズモヘアの口元をよく見ていると口がモグモグ動いているが、時折舌がちらりと見えた。
なにしてんだコイツ。
「さっき怪我をしたからキズを舐めてるのかしら」
『さぁ』
アーシェが腕を組んでオズモヘアを見下ろす。
その視線に驚いたのか、オズモヘアは一瞬ビクッと怯えると、まるで尻尾を巻くように逃げていってしまったのだった。
『何だったんだろ、今の』
「キズは?」
『あ。なくなってる』
擦りむいた手のキズは不思議なオズモヘアのおかげで跡形もなく消えてなくなっていたのである。
「不思議な事があるもんだよなぁ」
「ホントだね。」
いつものように頭の後ろで手を組んだヴァンとパンネロが走り去るオズモヘアの後ろ姿をしばらく見つめていたのだった。
.