ACT.13
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雨期になるとモンスターは凶暴になる。アルフィナは以前そういう話を小耳に挟んでいた。
それを思い知ったのはギーザ草原へ足を踏み入れて数分後の事であった──。
『──くっ!』
降りしきる雨に視界を遮られ、水分を大量に含んだ不安定な足場の中でアルフィナ達は戦闘を繰り返していた。雨期のモンスターは乾期とはまた違う。退治法が掴めぬまま、苦戦を強いられていた。
「ちっ、タイミングの悪い時に出てきちまったな。」
『雨で前が見えない…』
ぼやくバルフレアに嘆くアルフィナ。
他のみんなは何も言わないが、きっと同じ事を思っただろう。
しかも雨で奪われるのは視界だけではなく、雨音によって気配や足音までも消されてしまい、カエルのようなモンスター“ギガントード”に何度も後ろを取られては、不意打ちを食らうこともしばしば。
『はぁ…、はぁ…』
早くもアルフィナが息切れを起こし、ヴァン達の表情にも苦しさが見え始めた頃、このままでは疲労が重なるだけだと判断した大人組は、いまは誰も居ない遊牧民の集落にて休息を取ることにした。せめてこの雨さえマシになってくれれば、と祈りながら。
『はぁ…、はぁ…』
集落にて休息を取り始めて数分。いまだにアルフィナの呼吸が荒く、雨に混じって汗が流れた。
心なしか、胸元を握りしめている。
「アル大丈夫?」
『だ、大丈夫…。』
心配そうにパンネロが声を掛けるが、アルフィナは『大丈夫』としか言わず、苦笑いを見せるだけ。
「……。」
そんな2人のやり取りをバッシュは目を細め見ていた。そこにバルフレアがやってくる。
「何か知ってそうだな。」
「…例え知っていても私の口から言うことでない。何も聞かずに見守ってやってくれないか?」
バッシュは視線を再びアルフィナに戻す。彼の相棒フランもいつもと変わらぬ表情で彼女を見つめていた。
「ま、俺には関係のない事だしな。聞いてほしいってあいつが言うならその時は聞いてやるさ。」
「あぁ、そうしてやってくれ。私の目の届かない所で無茶をするかもしれないからな、彼女は。」
過保護だな、とバルフレアは聞こえるように呟くとバッシュは苦笑いして「自覚してるさ」と言ったのだった。
*
数十分の休息の後、運良く雨足が弱まった所を狙ってアルフィナ達は再びギーザ草原を渡り始めた。南に進むに連れて途切れた雨雲の先に青い空が広がっているのが見える。オズモーネまであと少しのようだ。
アルフィナ達はマシに戦えるようになったその足でなんとか“星ふり原”まで辿り着いた。だんだん雨期のモンスターとも戦えるようになり、わらわらと集まってきたハイエナを手分けして倒した彼らはようやく一息つく。
するとそんな一行の前にドスドスと巨体を連想させる足音をならすモンスター“ウールゲーター”が現れる。(ラバナスタの貴婦人が持つバッグはこいつの皮が原料らしい)
咄嗟にアルフィナは剣に手を伸ばすが、それをバッシュが止めた。
『小父様…?』
「大丈夫だ。あれはこちらが手を出さない限り向こうから攻撃してくることはない。」
その言葉通り、ウールゲーターはアルフィナ達には目もくれず、目の前をドスドス、のっそのっそ、と通り過ぎていく。
その姿をアルフィナはボケーッと見つめていた。
…ホントに何もしてこないんだ…。
見た目とは逆に平和主義者なウールゲーターの去りゆく姿を呆然と見送るアルフィナであった。
.