ACT.13
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「………」
『はぁ!』
「─っ!」
心配して損した。
今、バッシュの胸の内にはそんな思いが渦巻いていた。
しかし呆れかえるバッシュをよそに悩みの種である本人は真剣に稽古に打ち込む。そんな彼女にバッシュはようやく「アルフィナ」と声をかける。
『バッシュ小父様!』
アルフィナの反応にやれやれ、と再びため息をこぼした。
「まだ体調が良くないだろうに。一体何をしているんだ。」
『もう平気ですよ。』
なんだか最近バッシュが姑かのように小言が多くなってきた気がする。
そんなことを思われているとは知らず、バッシュは稽古相手のフランに目を向けた。
「フラン。バルフレアが呼んでいたぞ。」
「…彼が?」
不思議そうにフランは首を傾げた。
ギーザ草原に出掛ける、と言った矢先だ。バルフレアが呼ぶなんてよっぽどの事がなければ無いはず。
そう思い至ったフランだから“呼んでいた”という言葉に疑問に思ったのだが、バッシュの意味ありげな視線にフランは察し、小さく頷いた。
「私は行くわ。」
『あ、うん。ありがとうフラン。』
アルフィナの礼に視線で返し、フランはその場を去って行ってた。
そしてポツンと残されたアルフィナとバッシュ。
心なしか、バッシュの機嫌が悪いように見えて少し居心地が悪い…気がする。
気まずい…。
「体は本当に大丈夫なのか?」
『あ、はい。すこし気だるいですけど、…』
これくらいなんともない。という彼女にバッシュはとてつもない脱力感におそわれた。
すこしでも気だるいのであれば休んでほしいのだが。
「もう少し自分の身体を大事にしてくれ」
『してますよ?』
これでも。というアルフィナに、どこがだ、とつい言い返したくなる気持ちを必死に抑えた。
あぁ、バルフレアが時々彼女のデコを突きたくなるのはこんな気持ちになるからだろうか、と共感した。
彼女なりに自分の身体を労っているつもりなのだろうが、周りから見れば全然だ。
「とにかく。ラバナスタに戻るぞ。」
『もうちょっとだけ。』
「まだ稽古をする気か?」
呆れたと言わんばかりにバッシュは眉間に皺寄せた。
…が、そうではなかったようで。
『稽古はもうしません。でも、もう少しだけここで風に当たっていたいんです。』
「……。では、私も付き合おう。」
『え…』
驚いて隣を見ると、ちょうどバッシュが手頃な岩に腰掛ける所であった。
本当にアルフィナの我が儘に付き合ってくれるようだ。
彼の気遣いに感謝し、アルフィナもバッシュを見習い隣に腰掛けた。
乾燥した乾いた大地。今日はたまたま晴れ間が見えるが、いつもなら雨が鬱陶しいくらいに肌を打ちつけていただろう。
あと2日後にはガリフの里へ向けて長い旅が始まる。
『今回の旅はどれくらいかかるんですか?』
「そうだな…、このギーザ草原を南下しオズモーネ平原の先だ。数日はかかると彼は言っていたが…」
『そうですか…、長くなりそうですね』
そう言ってアルフィナは苦笑いした。その表情がやせ我慢しているようにバッシュは見えなので心配になる。
「…本当に大丈夫か…?」
『え…?』
その質問にアルフィナは顔を上げると、こちらを見ていたバッシュと目が合った。
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