ACT.12
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『はぁ…、はぁ…』
荒い呼吸を落ち着かせようとベッドに横になった。ドアに背を向けて。
…なんであんなに怒ってしまったんだろう…。あれじゃ、ただの八つ当たりだ。ガキっぽくて嫌になる。
今さらになって後悔の念が押し寄せてくる。2人は何も悪くないのに…。最低だ、私…。
「叫ぶ元気はあるようだな」
『…誰!?』
気配を全く感じず、ドアを開く音も聞こえなかった。だから突然聞こえた声に驚いて跳ね起きた。
「君らしくもない。あれではただの八つ当たりだぞ?」
『…っ、…聞いてたんですか。盗み聞きとは…いいご趣味をお持ちですね』
気配を消したまま部屋に入ってきたのはアーシェと共にムスル・バザーへと買い出しに行ったはずのバッシュだった。
珍しくアルフィナは皮肉ったセリフを吐く。
バッシュはなんともないように肩をすくめてみせる。
「君の様子が気になってな。いつもと違うようで」
『…別にどこも違わないですよ。気のせいじゃないんですか?私を気にかけてる余裕があるのならアーシェを心配したどうなんです』
「殿下を…?」
アルフィナは頷く。
『あれじゃ…本当に…、』
──帝国に復讐しかねない…、と続く筈だった言葉を途中でバッシュが遮った。「かもしれないな…」、と。
「だが…私は君の事も心配しているんだ。」
『……。』
そんな事は聞きたくない、とでも言うかのようにアルフィナはバッシュから顔を背けた。
「リヴァイアサンでバルフレアが君を連れて戻って来たとき…、…まるで死人の様に冷たかった…。」
今でも鮮明に思い出す。どんどん冷えていく体に絶望を感じた。その様は…2年前のナルビナ戦役を思い出させる。
そう―ちょうど…、
「…ラスラ様が息を引き取った時をまざまざと思い出させたのだ…。」
『ラスラ様…。アーシェの…、』
─夫だった人…。
今度はバッシュが頷いた。
「まるで…君が…あのまま死んでしまうのではないか、とな。」
『バッシュ小父様…』
そこまで心を痛めていたのか…、とアルフィナはようやく理解した。
理解したが言えない事もある。「無事で良かった」、と微笑んだバッシュにアルフィナも弱々しく笑みを返した。
『心配かけてごめんなさい。1日休めば元気になるだろうから、ガリフの里へは予定通りで問題ありません。』
「そうか。…ウォースラもいない今、君が同行してくれるのはとても心強い。」
長居はよくないと思いバッシュが部屋を出ようとした瞬間、アルフィナが小さく咳き込んだ。
『ごほっ…ごほごほっ…』
「大丈夫か?体調が良くないようだな」
心配して無意識にアルフィナの肩に触れたその時──、
──ブワリ……っ
「─!?」
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