ACT.12
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その背中越しにヴァンに聞く。
「ヴァン、お前なら何が欲しい?何を求めてる?」
「おれ?そりゃあさあ、その──ほら、あれ……」
返答に困っていると、その間に1人、また1人─と部屋を出て行ってしまい、ポツンと残されたヴァンは決まり悪そうに頭を掻いたのだった。
「アル、俺も行くから。ちゃんと休んでろよ」
『うん』
その場にただ1人いたアルフィナに休息を促した後、ヴァンもバルフレア達のあとを追って部屋を出たのだった。
ヴァンの姿がドアの向こうに消えた後、アルフィナは暫くそこに座っていた。
ガリフの里…
確かキーザ草原の南だ。
数日は掛かるだろう。
アーシェに共に来てほしい、と言われたが…。
…今はその思いが私を苦しめる。
『はぁ…』
肉体的な疲れからか、精神的な疲れからなのかわからないため息が出る。アーシェの側に居れば居るほど、罪悪感が私を苦しめる。目を覆いたくなる現実にもう一度ため息が出るのだった。
とりあえずベッドに戻ろう、と考えアルフィナは立ち上がり、よたよたと歩き出した。数分掛けて戻ったベッドに腰を下ろした時、ちょうどノックがかかった。
『?…誰、』
「アル、私だよ」
この声はパンネロのものだ。どうぞ、と言えばパンネロがヴァンを連れて部屋に入ってくる。
『なんだ、ヴァンもいたの』
「“なんだ”とはなんだよ」
「食事持って来たの。フランが体冷やしてるだろうから温かいスープがいい、って」
『ありがとう。そこに置いといて?』
ふてくされたヴァンを無視し、ベッドのサイドテーブルを指差す。「うん」とパンネロは湯気が立つスープを慎重に置いた。
「バルフレアがさ、3日後にガリフの里へ出発するって」
『3日後?』
そう切り出したヴァンをベッドに腰掛けたままのアルが見上げる。
「旅の支度とアルの休息を計算した日数だ…とかなんとか言ってたな、パンネロ」
「うん。とにかくちゃんと休んでろ、って」
『そう…』
アルフィナは再び顔を俯かせる。自分が共に行くことは決定事項らしい。
…今はそんな気分じゃないのに。
「アル早くスープ飲まなきゃ冷めちゃうよ?」
『うん。あとでちゃんと飲むから』
パンネロの親切が今じゃ、“鬱陶しい”以外のなにものでもない。
「どんな所だろうな、ガリフの里って」
『うん…』
「今、キーザ草原は雨期だけどちゃんと通れるから心配いらないってバルフレアさんが言ってたよ」
『そう…』
「──アル…?」
一言しか返さないアルフィナに流石のヴァンもおかしい、と気づいたのか、顔を覗き込んだ。