ACT.12
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「…使い方、わかるのかよ…」
珍しくヴァンが的を得た質問をアーシェに向けた。
言われて気づいたのか、アーシェは黙り込む。
「ガリフなら、あるいは」
『ガリフ…?』
テーブルに腰掛けていたフランがアーシェに提案するように言った。
聞き慣れない名にアルフィナが聞き返す。
「古い暮らしを守るガリフの里は、魔石の伝承が語り継がれているわ。彼らなら破魔石の声が聞こえるかもしれない──」
そこで言葉を区切り、立ち上がりアーシェを振り返る。
「──危険な声の囁きが」
「危険だろうと今必要なのは力です。無力なままダルマスカの復活を宣言しても、帝国に潰されるだけ」
フランの警告も耳を傾けぬまま、アーシェは彼女の前に立った。
「ガリフの里までお願いします」
「オズモーネを越えた先よ」
アーシェとフランで言葉を交わしていると、
「遠くないか?」
とバルフレアが口を挟んできた。アーシェは無表情を見せる。
「また報酬──ですか?」
「話が早くて助かるね。──そうだな、そいつが報酬だ」
バルフレアはアーシェの左手を指差した。アーシェは咄嗟に右手で隠す。
「これは─何か他の──」
と焦って別の物を探したがバルフレアがそれを断ったのである。
アーシェの左手に填められてある2つの指輪。それはアーシェとラスラの夫婦の証─結婚指輪─だった。バルフレアはその内の、中指に嵌めてあるラスラの結婚指輪を報酬に求めたのである。
「いやなら断る」
「…っ」
他人の結婚指輪など何の価値もないだろうに。理由があってか、どうかはわからないバルフレアにアーシェは渋々結婚指輪を外し、手渡した。
「その内返すさ。もっといいお宝を見つけたらな」
指輪を握りしめるバルフレアからアーシェは顔を反らし、彼から離れ、何故かアルフィナの側に寄った。まるで縋るような目で見つめるアーシェ。
「一緒に…来てくれるわよね」
『…!…、うん…。』
ガリフの里へ…と呟いたアーシェにアルフィナは目を合わさずに頷いただけだった…。その態度にアーシェもおかしい、と感じたかもしれない。
その後ろではヴァンがバルフレアに「もっといい宝ってなんだよ?」と訪ねていた。
「さぁな。見つけた時にわかるのかもな」
バルフレアは部屋を出る。
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