ACT.12
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『一瞬…たった一瞬で全てが憎くなった…。そしてその感情を破魔石が過剰に反応し暴走を起こした…。全て…私の責任です…。』
憎しみの色に染まった私のミストが破魔石をくすぐったのだ。
…そして艦隊を消滅させた…。
「…だけど…すぐに助けに行けなかった私達にも非はあるわ。」
『アーシェ…』
「殿下の言うとおりだ。すぐに助けてやれなくてすまなかった…。」
目を伏せ、謝罪を述べたバッシュ。そこには艦隊を消滅させたアルフィナにお咎めの言葉はなかった。その裏には、アルフィナのせいではない、と語っているようで。
『いえ…。』
と、小さく返す。本来の彼女なら…
「いえいえ!とんでもない!」
…くらい言いそうなのだが…。アルフィナの様子がおかしいことにバルフレアは眉間に皺寄せしていた。
艦隊を消滅させた破魔石
その暴走を引き起こしたアルフィナのミスト
間近でみた破魔石の暴走…確かにあれならナブディスも壊滅するわけだ。原因不明の大爆発に襲われたナブディスはミストが吹き荒れる地に変わり果て、今は恐ろしい魔物が住み着いているのだと…。
アーシェは手元にある輝きをなくした暁の断片を眺めた。
「艦隊を壊滅に追いやるほどの破壊力をもつ破魔石──あの戦争も、調印式での罠も、ヴェインはこの力を狙って──!」
ヴェインがラバナスタに執政官としてやってきた理由がようやくわかった。ダルマスカ王宮に隠された“黄昏の破片”をヴェインは狙っていたのだ。
「レイスウォール王の遺産──破魔石は帝国に渡せません」
破魔石を大事そうに握りしめ、訴えるアーシェを横目にアルフィナは疲れた声で言った。
『もう、とっくに渡ってる…』
「──!」
驚きアーシェは横を向いた。アルフィナでは考えられないくらい冷めた瞳をしていた。そこへアーシェの気を自分に反らそうとバルフレアが継いで言う。
「あぁ、だろうな。“黄昏の破片”も…多分“夜光の砕片”も。でなきゃ人造破魔石なんて合成出来るか」
『…っ』
「では“暁の断片”の力で帝国に対抗するだけです!」
ほんの一瞬…バルフレアが口にした“人造破魔石”にアルフィナがビクッと反応した。それに気づいたのはバッシュ以外誰もいなかった。
「……。」
「ダルマスカは恩義を忘れず、屈辱を忘れず。刃を以て友を助け、刃を以て敵を葬る。──私の刃は破魔石です。死んでいった者達の為にも──帝国に復讐を…!」
暁の断片を胸に、己の為でもあるかのように語るアーシェ。皆がその決意を聞いた時、長い沈黙が流れた。
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