ACT.02
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水路の図面は一度だけ見たことがある。だが、残念ながら左側の扉は閉まっていた。きっとカイツがバレないようにと、閉めたのだろう。
今更カイツを連れてくるのもめんどいし、解錠に時間が掛かるのなら遠回りでも右側の扉から行った方が早いかもしれない。
『…当たって砕けろっ、だ。』
いや、砕けちゃダメだろ…。
右手には布に包まれ、紐で縛られた■■の相棒。両手刀の“菊一文字”。軽く、パワーは小さいものの切れ味はバツグンな両手刀は■■と相性はピッタリで。
よしっ、と心の中で気合いを入れ、勢いよく水路へと突入したのだった。
─同じ頃、王宮では反乱軍と帝国軍による騒動が起こっていた…。
──…、
『はぁ…っ、はぁ…っ、…、』
水路に入ってすでに数時間が経過。向かってくるモンスターを次々となぎ倒し、進む。
ちょうど半分か、やけに開けた場所にたどり着く。人の気配はしない。まだ距離があるのだろうか。
『ちょっと休憩…、』
ほぼ全力疾走でここまで来たのだ。一息つかねば身がもたない。
…が、やはりここは魔物の巣窟。人ではない気配が一瞬で辺りを満たす。
『!──、ちっ、手強いな…。』
たしか名前は“プリン”だったか。スライム系のモンスターが四、五体。
流石にこれは無理だ。逃げた方がいいかも。
そう考えていたその時…、
「■■っ!!」
『っ!?、ヴァン!』
王宮へ忍び込む前か、後かは分からないが昼間会った時となんら変わりなく、こちらへ駆けてくる。その後ろにあと三人ほど知らない顔がいたが今は目の前の敵を倒す方が先決だ。
いろいろを後回しにして襲いかかってくるモンスターを全員でたたみかけ倒した。
──…、
『っはぁあ!!』
ザンッ、と最後の一体のプリンを倒す。
人手があったおかげか大きな外傷もなく。
最も、プリンを倒すのに貢献があったとすれば、それはヴァンと■■だ。意外にもコンビネーションが合い、残る三人は補助的な仕事のみで終わったと言ってもあながち間違ってはいない。
…が、いくら戦闘でコンビネーションが合ったからと言っても、やはりヴァンと■■は相変わらずのヴァンと■■だった。
「なんで■■がここにいるんだよっ。」
『それはこっちのセリフだっ!!あんたがいつまで経っても帰ってこないから探しに来たんだよ!』
顔を突き合わせた途端、これだ。パンネロがいれば止めに入るのだが…。
『ったく…。心配して損したっ。で、後ろのお連れ様はなんなの。』
チラリと、視線を横にずらす。オールバック頭の長身男性と、これまた長身の美女。たしかヴィエラ族…と言ったか。そして■■達と同じ歳くらいの短い髪の女性が一人。どういう組み合わせ?
「いろいろあってさ、とりあえず一緒に出口探してる。あっちがバルフレアとフラン。あいつはアマリアって言うんだ。」
『……。』
「…、…なんだよ。」
『……。…はぁ…、なんでもない…。』
前から知ってたけど、相変わらず礼儀の欠片もないやつだ。
にも関わらず、本人無自覚だから質が悪い。一人「あいつ空賊なんだせっ!!」、と興奮してるし。知るかっ。
…なんか…、アホらしくなってきた…。
と、そこで長身の男性─バルフレア―が口を開いた。
「で、ヴァン。そちらのお嬢さんは誰なんだ?」
『お、お嬢さんって…、』
「あぁ、■■だ。俺の孤児仲間だから心配はいらない。ヤンキーだけど根は良い奴だからさ、」
『ちょっ…初対面に何言ってんだ!!』
「こんな感じ。でも悪い奴じゃないからさ、」
なんだかヴァンに振り回されてる気分だ。時々だがヴァンに適わないときがある。…それがものすごく悔しい。
「あんたどっから来た。そもそもなんでこんな所に」
「あ、そうだった。」
『入ってきたのはダウンタウンのヴァンが入っていった扉とは逆の扉からだ。ヴァンが王宮に忍び込んだかも知れない、ってパンネロが言うから探しに来た。』
「なるほどな。ということは、あんたは出口を知ってるってわけだ。」
『…“あんた”じゃない。■■だ。』
訂正を促せばバルフレアは「悪かった」、と返し、出口まで案内してくれないか、と頼んできた。
ヴァンとも合流出来たし、ダウンタウンに帰るのだ。断る理由も無いので、「ついででいいなら」、と冗談めかしに言う。
「それで充分だ。」
じゃぁ、と振り返ろうとした時、今まで無言を貫いていた短い髪の女性─アマリアが口を開く。
「ねぇ、ここへ来る途中、解放軍…いえ、人を見かけなかったかしら?」
『人?…、…見なかったと思う。いたら気づくだろうし…。』
「…そう。ありがとう…。」
と、落胆の色が伺える。仲間がいたのだろうか。
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