ACT.11
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『…ギース…っ』
何故かワイン片手に機嫌良さげなギース。
ギースは私が聞いてもいないのに、数分眠っていた、など他愛のない話を1人でペラペラ話す。
それよりも聞きたいのは、どうして私が鎖で繋ぎ止められているのかだ。背中に石盤が当たっている。まるで磔のようだ。頭上で繋がれた両手のせいでギースを殴る事も出来ない。
ようやく起きてきた頭。周りを見渡せばずいぶん広い部屋で幾つもの装置が置かれている。そして私を中心に床に描かれた魔法陣とおぼしき黒い文字。古代の文字…だろうか。
「ギース様、石にも娘にも本国に持ち帰るまで手を出すな、とのご命令では?」
1人の部下が勇気を振り絞ってギースに問い掛ける。
しかしギースはどこかバカにしたような口振りで部下に言い返した。
「あらかじめ真贋(シンガン)を確かめんでどうする。娘も生きてさえいれば姿が変わろうともヴェイン殿は何も言うまい。」
そしてギースは始めろ、と手で合図をした。
装置に動力が流れ始める。
『何するの?石は?』
「まぁ見ておれ。いずれお前もあぁなる。」
『はぁ?』
どうやらギースは暁の断片で実験を始めたようだ。
なにをしてるから分からなかったが…。
ふとギースが装置からアルフィナへと視線を変える。
「ヴェイン殿が何故こんな小娘に執着なされるのかと疑ったが…いやはや、世の中不思議な事だらけですな」
『ヴェインは何故私を探しているの』
「知らぬのも無理はない。私でさえ最近知ったのだからな、貴殿のことを」
『知った…?何を知ったって?』
ギースは肝心な所はなかなか口にしなかった。それが徐々に焦りと苛立ちを生み、心を支配していく。
『教えて。何を知ったのっ、私の事?なんでヴェインは私を探しているの。』
「正確には貴殿ではない。ヴェスパニアの血筋を探していたのだ、ヴェスパニアの血をひく者。」
『ヴェスパニアの血…?』
要は私を探してたんじゃないの…?と声に出さずに呟いたのに、どうやらそれが顔に出ていたようで。
「何故探していたかまでは私は知らん。だが、貴殿の本当の正体を私は知っている。…はたして貴殿はその真実を受け入れられるな…?」
『……。』
意味深なギースのセリフに私は一瞬で、知りたくない、と思った。
知ってはいけない、と。本能がそう告げていてる。
知ってしまえば、何かが崩れ落ちて…もう二度と元には戻れない。そんな気がしてなからなかった。
知らない方が幸せな事もある。誰だっけ?そう言ったのは。
きっと私は後悔する…。聞かなきゃよかったって。知らないままの方が幸せだったと…。
…でも…、
『…、…知りたい…』
「……。」
知らなきゃいけない…。
私の中で誰かが叫んでる。
『…教えて、下さい…』
「いいのかね?知れば後悔するかもしれん」
“真実を見極めろ──”
ずっと前に父様が仰った言葉。
その言葉通りに私はバッシュ小父様の真実を見つけた。
その私が本当の自分を知らないなんて…
『…それでも、知りたい…』
「よかろう。貴殿が望んだ事だ。私は少し手を貸すのみ」
ワインを一口、ギースは体の向きをアルフィナへと変えた。
心臓の鼓動が脳にまで響く。
出来ることなら、その真実が受け入れられる範囲内でありますように…。
「貴殿はヴェスパニアという名だが…その身には憎き血が流れている」
『…憎き血?』
「帝国の血…
政民の血…、そして…、
ソリドール家の血…──。」
『───…。』
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