ACT.10
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「私達が手に入れた魔人の力には計り知れない価値があります」
振り返ってバルフレアに言ったアーシェ。薄々感じていたのかもしれない。金銀宝石が大陸を統一させた覇王の財宝なわけがない、と。
そのことにバルフレアは一気にやる気を削がれたようだ。
「おいおい、俺としてはもうちょいわかりやすい財宝を期待してたんだがね」
『ドンマイ。そのうち良いことあるって』
親切にアルフィナは慰めようとしたのに何故か彼に頬をムニッと抓られた。
『いてて』
「ったくお前は。人事みたいに言いやがって」
離された頬をさすりながら、「だって人事だし」、と言い返せば今度はちょっと痛いデコピンをもらったアルフィナだった。
「─で、どうするこれ?」
ヴァンが今だに宙を浮遊し続ける召喚石を指差す。
誰も答えられずに、それを見つめる。流石にバルフレアも召喚獣を金に替える事は考えなかったようだ。きっとその価値が分かるのは覇王に関係する者のみだろう。
んー…、と悩んでいると、召喚石は真っ直ぐにアーシェの手元へと降りてきた。やはり覇王の末裔であるアーシェが持つべきものであり、魔人も彼女を選んだのであろう。
アーシェの手中で浮遊し続ける召喚石。彼女が持つことに誰も異議を唱えなかったのは、当然と言えば当然の事なのかもしれない。
召喚石を見つめるアーシェを私はただ、すごいなぁ…、などと人事のように見ていた。だからアーシェが私に振り返った事に気づくのが遅れたのた。
『──…ん?』
「……。」
一歩、一歩と近づいてくるアーシェ。まさかと思いウォースラが動こうとしたが、それをバッシュが腕を上げて止めた。
目の前に来たアーシェは、すっ…と手中の召喚石を差し出した。アルフィナはアーシェと召喚石を交互に見た。
「これを、あなたに」
『私、に…?』
召喚獣はアーシェにとっても大きな“力”だ。それを他人である自分に差し出している。受け取る手が宙をさ迷っていた。
遥か昔からダルマスカ王国では、王族の者がそうでない他人に自分の物を差し出すという事は、“生涯仕えよ”、という意味でもあり、それは破ることの許されない誓いの一つでもある。
アルフィナはそれを知っていた。もちろんバッシュやウォースラも。
ヴァン達はどうかは知らないが。
『…私…、あの…、』
「あなたに託します。力を…。私の剣として、盾として。“あの時”交わした約束を…今度こそ…、」
守って──…
『──…!』
あの時、あの幼い頃に交わした約束。
…もちろん覚えています。
“私がアーシェを守る騎士になるっ”
“一緒にこの国を守るわ!”
アーシェ──…、
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