砂礫の大地
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つまり赤い水の研究をしないということ。
これがエドワードの決めた答えだ。…そもそも引き受ける気などさらさらなかったのだが。
「貴様…っ、ならばここから生きて返さん!」
『―!あれは…っ、2人とも気を付けて!』
「錬金術師の代わりなどいくらでもいる!」
交渉が決裂したとわかるとマグワールはエドワード達に明確な敵意を向けた。その手には赤い水が入った何かの装置。あれでラッセルとフレッチャーが奴の錬金術によって拘束されてしまったのだ。
マグワールは錬金術を使えないはずなのに。
その奴に手には赤い水を凝縮した石があった。
「石っ!?」
「1つだけじゃなかったのか!」
「はははっ、あれほど完全ではないがな。」
マグワールは装置の中に石を投入する。
すると赤い水が反応し、装置の一部を砲弾の武器へと錬成したのだ。
「死ね!」
「「『――!!』」」
ドォン!と放たれる砲撃。なんとか交わすエドワード達とサヤ。避けた砲弾は背後の壁を打ち抜いた。
「もう終わりか!」
「…っ、まだまだあるぞ!」
『まだそんなに!』
石というほどでもないが、砂粒のような赤い石くずがマグワールの手平いっぱいの量を次々と装置へ入れていく。
「うそぉ!?」
錬成反応が起き、ひとつだった銃口が複数に錬成される。たった一撃だった銃弾も何発にもなってエドワード達を襲った。
「等価交換もへったくれもねぇな!」
「無駄だ無駄だ!」
必要以上にエドワードとアルフォンスを狙うマグワールにサヤの存在など意識がないのだろう。
『あの装置さえ壊してしまえば…っ』
あれが無ければマグワールは錬金術を使えないのだ。
連射していた銃撃も赤い石が底を尽いた為、カチカチ…と銃弾が出なくなった。そのすきをついてサヤはマグワールに瞬時に詰め寄り、手に持つ装置を蹴り飛ばした。
『―はぁ!』
「ぐ…っ、貴様…っ」
蹴り飛ばされた装置は高く飛び本棚へと激しくぶつかってパリン…と砕け散ってしまう。それを見たマグワールは絶望した顔を見せた。
「あ…あぁ…、そんな…、」
打ちひしがれるマグワールを今度は植物のツタがやつを拘束する。伸びてきたツタの先を辿るとそこにはトリンガム兄弟がいた。
「今だアル!押せ!」
「うん!」
身動きが取れないマグワールに向けて、エドワードとアルフォンスは盾代わりにしていた大きな石柱を押す。先ほどの銃撃ですでにボロボロだった柱はいとも簡単にゴゴゴ…と押し倒され、それはマグワール目掛けて倒れていく。
身動きの取れないマグワールに避けるすべはなく。
「ぐわぁぁぁ!」
ドスゥゥ…ン。と激しく土埃を巻き上げて倒れた石柱。
植木鉢の植物を使って手助けをしてくれたラッセルがエドワード達に歩み寄った。
「エド。やっぱり僕の助けが必要だったな。」
「なにぃ!?」
『ふふっ。』
ラッセルはどこか吹っ切れたように笑う。
「…、父さんの後を追うのはもうやめだ。道は…自分達で探すよ。」
「…兄さんっ。」
その言葉にフレッチャーも嬉しそうな表情を見せる。
これでひと段落、かと思った。だが、サヤはがふと押しつぶされたマグワールの方に目を向けるとそこは床が抜けていて階段が見えた。
『ちょっと待って!あれを見てっ』
「兄さん!」
「っ!?抜け穴だって!?」
『ラッセル、あの先はどこへ続いてるんだ?』
「たしか…赤い水の源泉だ。」
「野郎…っ、逃げやがった!」
逃亡したマグワールの後を追うようにエドワード達も急いで駆けた。この先はマスクを付けなくては危険だと言われたので鎧姿のアルフォンス以外はみなマスクを着けて地下に降りる。
それほど広くはない通路が延々を続く地下道。まったくマグワールに追い付く気配がない。
「ラッセル、まだか!」
「すぐそこだっ、赤い水の沸く泉がある!」
『あっ!』
「「――!」」
駆け足が突然止まる。
目の前の通路を塞がれていたからだ。
マグワールの仕業だ。
「マグワールめ、通路を塞ぐなんてっ。」
「引きずり出してやる!」
エドワードが一歩前に出て、錬金術で塞がれた通路の壁を開ける。だが開けた途端、その先ではマグワールが大砲を錬成し待ち構えていたのだ。
エドワード達の姿が見えた瞬間、マグワールは攻撃する。通路の両側に避難して交わすエドワードとアルフォンス。その後ろにいたラッセルとフレッチャーをサヤが覆いかぶさるように壁へと押しやった。
なんとか避けれたが、砲弾の衝撃が地下道に響いた。
「泉は決して渡さん!この水さえあれば研究は続けられる!」
『その必要はない。お前はもう終わりだマグワール。』
「なにぃ!?」
彼女の言う“終わり”という言葉。
それが意味するもの。エドワード達がいう意味とマグワールが察するものとでは多少のズレがあるのだ。
サヤが意味する言葉は“我々”との縁を終わりにするというものだ。
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