砂礫の大地
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地下から出てきたサヤとマグワール。
彼はサヤにこの街に滞在中はこの屋敷に部屋を用意するからと言ってきた。
『ありがとうございます。』
「いえいえ、たいしたおもてなしも出来ませんが…、」
『…それより、エルリック兄弟はどこにいますか?ここにいると聞いたので顔を見ておこうかと。』
「えっ、エルリック兄弟とお知り合いなのですか?」
『えぇ、まぁ。』
「そ、そうでしたか。えっと、彼らなら一階に研究室を設けておりますが…、」
『そうですか。ありがとうございます。』
なぜかしどろもどろな彼の態度に疑問が浮かぶ。
さてはいまこの屋敷にいる“エルリック兄弟”が本物ではないと知っているかもしれない…。
そう思いながらマグワールに背を向けその場を離れた。
ただの屋敷にしては使用人のほかに、警備兵が多く目立つ気がする。
そのおかげで屋敷内は随ずいぶん物々しい雰囲気だ。
教えられた研究室の前。そこにも2人ほど警備兵がドアで警備していた。
『エルリック兄弟は中に?』
「失礼ですがあなたは?」
『マグワールさんに招待された者だ。国家錬金術師のサヤ・グレイスだ。』
「そうでしたか。失礼いたしました。どうぞ。」
そういって中にいるであろう人物に声をかけ、通してくれた。
そこにいたのは…、
「兄さん…、」
7~8歳くらいの幼い少年と、
「あんたは…、」
『(ぱっとみて…16歳くらい、かな…?私とたいして変わらないか…。)』
“本物”のエドワードと違ってサヤが見上げる程の高身長。そして2人とも金髪に青い瞳。
明らかに初対面のツラだ。しかし今の私は“エルリック兄弟”と知り合いという設定だ。いまここで彼らに対して初めましてと言うわけにはいかない。後ろのドアでは私兵がまだ警備しているのだ。
『“久しぶり”、2人とも。元気だった?』
「……、」
警戒してか“兄弟”は何も言葉を発せず。
しかし2人が“エルリック兄弟”を演じるのならば、私とも知り合いとして演じなくてはならない。
サヤは手持ちの手帳に自分の名を書いた。
“国家錬金術師、サヤ・グレイス”
と。
すると兄貴の方が彼女の意図に気づいたのか会話の続きをアドリブで返す。
「あ、あぁ久しぶりだな。このとおり元気さ。サヤは?」
『私も元気だ。』
「しかしどうしてここへ?」
そんな当たり障りのないやり取りをしながら今度は兄貴の方が紙に何かを書いて見せた。
“あんた、何者だ?”
“《エルリック兄弟》の知り合い、てとこかな?”
『マグワールさんに招待されてきたんだ。研究に協力してほしいって。』
(ほんとはラストに呼ばれて来ただけなんだけど。)
うそは言っていない。
“本物はどこ?”
「そうか。わるいな。」
“やつらなら屋敷の外へ追い出した。”
“そう。”
それだけ聞ければいい。
サヤは手帳を仕舞った。
『今日はもう遅いから詳しいことはまた明日。』
「あぁ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
“弟”の方が小さく手を振る。
返すように小さく笑いサヤは研究室を出た。
そのまま用意された部屋に行くかと思われたがサヤは屋敷の外へと出てきた。
目的の人物を探して。
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