第41話
夢小説設定
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あれから2年―…。
《ザ…、マスタング准将が本格的にイシュヴァール政策に乗り出し…、将来的には東方シン国との鉄道貿易を開始したいと…、イシュヴァールは交易の拠点として…、…すでにリン・ヤオ皇帝との条約を…》
バチィ。
「ん?どうしたんだい。」
『ラジオが電波をうまくキャッチしてくれなくて。たぶんこれで直ったと思うんだけど…』
作業をしていたピナコさんの後ろでラジオを聞いていたサヤがリン・ヤオの名前に反応して、時々電波が途切れるラジオを錬丹術で直した。これできちんと聞こえるはずなのだが。
「リン、皇帝になれたんだね」
『アル。そうみたい。メイのことも他の一族の事もちゃんと面倒みてくれてるみたい。』
「そっか。」
『メイに会いたい?』
「そうだねっ。元気にしてるかな?」
↑錬丹術を教えてもらう為に。
『……。』
なんか…、違う。
アルの会いたいはきっと別の意味が込められている、と瞬時にサヤは悟った。
「その本、また読んでるの?」
『これ?そう。ウィンリーにもらったの。』
その本、と指差したのはウィンリーの両親が持っていた医学の本だ。リゼンブールに帰ってきてから数か月が経ったとき、アルは預かっていた(?)サヤの日記を返した。
アルが見るか見ないかは君に任せる、と言って渡した。それはサヤがこの国に来てから時々書き溜めていた日常。
それを破棄するという形で手放したのだがなぜかアルが持つことに。
まさかこんな形で本人の手元に戻るとは思ってもいなかったはずだ。
それからだ。
突然サヤが医学の本を無我夢中で読み始めたのだ。
本人もなぜかわからない。ただ読まなくては、学ばなくてはという意識に駆られるのだという。
その意図は誰にも分らないが、アルはもしかしたらイシュヴァールが関係しているのではないかと思った。
それはアルしか知らない事。イシュヴァールに行くのだと記憶を無くす前のサヤが言ったのだ。
そう思い、アルは村の診療所で助手を探しているという話を持ち掛けた。
サヤは二つ返事で快諾。
週に2.3回のペースで診療所に出向き、先生の手伝いをするようになったのだ。
「今日は診療所に行かなくていいの?」
『うん。働きすぎだって。今日は来るなって先生に言われてしまって…。』
「ははっ。そうなんだ。このところ毎日行ってたもんね。」
『んー、私は全然平気なんだけど…。』
来るなと言われてしまったら行くにも行けない。
でもじっとしてることも出来なくて。本を片手に家の中をうろうろ。たまたまラジオの前を通ったとき、リンという名前とイシュヴァールという言葉に足を止めたのだ。
「ウィンリーがアップルパイ焼けたって。兄さんどこにいるか知ってる?」
『たぶん屋根じゃない?さっきピナコさんに雨漏れするから直してって頼まれてた。』
「あー、昨日の雨すごかったもんね。ちょっと見てくるよ。」
『うん。…あ。ねぇアル。』
「なに?」
サヤがラジオの方を見て聞いてきた。
『イシュヴァールってどんなところ…?』
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