第40話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
リゼンブールに帰ってきて数か月が経過した。
ここでの生活に慣れはじめてきた頃。
とある日の昼下がり、サヤはアルから渡したいものがあると言われた。
「これを君に渡そうと思って。」
『なに?』
それは一冊の、
『日記…?』
「うん。君のだよ。」
「やっぱりまだ持ってたんだなアル。」
とエド。
「うん。サヤはいらないって言ってたんだけど、いつか返そうと思って。それに、これはあとから思ったことなんだけど、その日記の中身がシンの錬丹術についてのサヤの研究の内容が書かれてたりするんじゃないかと思ったんだ。」
アルは今シンの錬丹術に興味を示していて、時折サヤから話をよく聞いていた。
サヤは渡された日記をペラ…と捲る。
その中身はシン語でつづられている。どうやら私はずっとシン語で日記を書いていたのだろう。
一番最初にはこう書かれていた。
『忘れるな…、あの残虐な悲劇を…、
消してはならない…、復讐の炎を…、』
「そう書いてあるの?」
『うん。…しかもこれ…、血で書いてある…。』
「……。」
自分の血だろうか。
赤黒く変色した文字はペンで書いたものと違うとすぐわかった。
『よっぽど辛かったんだね、この時の私は…。』
「なにか思い出せそう?」
とアル。
『ううん今のところはなにも。ただ胸がズキズキするわ…。』
「一気に読まない方がいい。」
エドが開いている日記をパタンと閉じた。
かわりに鎌をぐいっと押し付ける。
鎌?
「ばっちゃんから草刈り頼まれてんだけどサヤも手伝えよ」
『草刈り?私やったことないんだけど』
「んなもんテキトーにやりゃいんだよ。ほら行くぞっ。アルは筋トレしてろよ」
『ちょっとっ』
「うん。わかった。」
アルの最近の日課である。
年相応の背丈になりつつあるが、筋力はまだまだ不十分。歩行も杖が必須だ。リビングにはダンベルなど筋トレグッズが置かれていた。
.