第40話
夢小説設定
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あれからどのくらいの時が経ったのだろうか。
いつの間にか気を失っていて次に目が覚めた時には、豪華な寝台の上で横になっていた。
丁寧に包帯も巻かれ、手当てされている。
「目が覚めたか。」
「…生きてる…。」
「娘との約束だからな。」
声の方を見ると召使を連れた女性が立っていた。
見覚えがある。
気を失う前にもいた人物だ。
名は、確か…、
「オリヴィエ・ミラ・アームストロング。少将だ。」
「…娘?」
「サヤ・マオだ。お前を治療してやってほしいと、頼まれた。覚えているか?」
サヤとの約束通り、アームストロング少将が瀕死のスカーを医者に診せ治療を施してくれたのだ。
今現在、アームストロング家の屋敷で匿ってくれている。私以外に家人しかいないから安心しろとオリヴィエが言う。
「……。ロックベル夫妻といい、貴様といい、何故アメストリス人は己れを死なせんのだ。」
「ロックベルがどうとかは知らんが、役に立つから生かした。それだけだ。…貴様を生かせば貸しも作れるしな。」
「己れを生かしていると知れたら軍法会議ものではないか?」
「それくらいのことはしょっちゅうやっとるわ。」
軍法会議という言葉を聞いただけで怯えるのが普通だろう。
なのに彼女はケロッとしていて。
さすがはブリッグズの北壁との異名を持つだけの事はある。
とはいえ、軍法会議もののリスクを冒してまでも欲するものがそこにあると彼女は思うからこそ、こうして国家指名手配されているスカーを生かしているのだが。
錬丹術使いであるスカーを生かし、かつ彼を助けて欲しいと頼んできた彼女と2人まとめて取り込めるのではないか、と考えるオリヴィエの思考なんて思ってもいないスカーとサヤだった。
「我が北方軍に錬丹術という技術が欲しくて貴様を生かしておいたのだが、……ちと事情が変わった。」
「…?」
オリヴィエが事情とやらを説明するタイミングと同時に部屋に見覚えのある人物が入ってきた。
北の地、バスクールの廃坑の街で出会った自分と同じイシュヴァールの血を引く者、マイルズ少佐だ。
「マスタングの奴がイシュヴァール政策にうちのマイルズを寄越せと言い出してな。」
「…で、私が貴様を連れて行こうと思った。」
「イシュヴァール…、」
「どうだ?イシュヴァールに戻り、イシュヴァラ教復興に尽力せんか?…もちろん過去をすべて消してだが…。」
まさか軍の人間からもイシュヴァールへの提案をされるとはスカーにとって思ってもみなかったことである。
「歴史ある宗教や文化を死なせてはならん。文化の死は民族の死だ。」
――お前の手で、民族を死から救え――…。
「―――…。」
…生かされている、意味…。
もう少し生きて探せ、ということか…。
兄者――…。
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