第39話
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エドとアルの隣で座っていたサヤが口を開く。
『私、これからどうなるのかな…、どこへ行けばいいんだろう。…リンには帰らないと大口叩いておきながら何も考えなしにあんなこと言ってしまった…。』
「なんだそのことか。」
不安そうに話すサヤにアルがいつもの優しい声で答える。
「君さえよければ僕らの故郷へおいでよ。」
『…2人の、故郷?』
「おう。お前も一度来た事があるんだぜ。覚えてないかもだけどよ」
『そう、なんだ…。いいの?私も行って…』
当たり前だろっ、2人が笑う。
心なしか不安が和らいだ気がした。
「ウィンリーも喜ぶしなっ。あぁー…俺達は殺されるかもしれねぇけど…。」
「兄さん…、」
「耐えろ弟よっ」
『……。』
はて、ウィンリーとは誰だろう、と首を傾げるサヤの隣でアルがほろりと涙を流していた。
彼女の現状を見たウィンリーがどのような反応をするのか。とりあえず2人そろってスパナかな、とエドとアルの心境がシンクロする。
怪我の治療を終えたサヤ、エド、アル。
治療テントの傍で座って何をするでもなく周りを眺めた。
忙しなく走る行く兵達。指示を出す人。怪我で担架に運ばれる者。
あぁ、本当にすべて終わったんだと改めて実感する。
あっという間だった…。
激闘のシーンが走馬灯のように思い出す。
死ぬかもしれないと何度思ったことか。
だが諦めなかった。諦められなかった…。
大切な人達が暮らすこの国を。
故郷で待つ人の事を…。
胸の奥にあった重たい何かが消え去った気がする。それは元の身体に戻るという使命か、錬金術そのものなのか…。エドにはわからなかったがまあこれでよかったのだろうと自分にいい聞かせた。
「リゼンブールに帰ったらウィンリーにアップルパイ焼いてもらおうっ」
「そうだなっ」
『それはなに?』
「お菓子だよ」
『へぇー。』
「ウィンリーの焼いたアップルパイは殺人的に美味いんだぜっ」
『それってどっちなの。』
「ん?」
エドのおかしな表現に思わず笑うのだった。
いつかこんな日が来るなんて少し前の自分達には想像もしてなかっただろう。
3人で顔を合わせて笑う日が来るなんて――…。
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