第39話
夢小説設定
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見知らぬ場所、見知らぬ人達。
そしてみんなが身体中ボロボロで
しかしサヤが目を覚ました瞬間、みんなが安堵した表情をして見せた。
なにがなんだかついていけない。
すると、頭が混乱しかけているサヤの所へ彼がやってきた。
「サヤ。」
『――リン!…?あ、あれ?』
「そうダ。俺はリン・ヤオだ。…エド、彼女はいったいどうなったんだ?」
知っているはずのリンでさえ、成長した姿に戸惑ってしまっていた。
その様子にリンは不審に思いエドを見る。
記憶を対価にしたことはアルとエドしか知らない。今のサヤは12歳の時から時間が止まっているのだ。
「サヤはアルの身体を向こう側から引っ張り出すのに、自分の記憶を対価にしたんだ。だけどその記憶は俺が対価を払ったからすでに取り戻している。…ただ、すべて思い出すのには時間がかかるんだ。」
「そうだったのカ…、」
「サヤ姉様…」
『二人ともボロボロじゃない。怪我をしているの?』
「大丈夫ダ。お前は平気カ?怪我はないカ?」
『私?…、たぶん大丈夫、かな?』
所々打ち付けたのかズキズキ痛みはあるが。
出血している傷は無いと思う。
自分の身体の具合をあちこち見ているサヤの前でリンが跪いて目線を合わせる。
「サヤ、ここはアメストリス国ダ。」
『アメストリス…て、西の果ての国のことか?なんでそんなとこに私もリンもメイもいるの?』
「エドが言うにはそれもやがて思い出すから心配いらないそうダ。―…サヤ、これから俺はチャン家の皇女を連れてシンへ帰ル。
…お前も、一緒に帰らないカ?」
『シンへ帰る?』
なにがなんだかわからないが、べつにアメストリスに長居する必要もないしと、サヤは疑うことなく頷こうとしたそのとき――…、
「帰っちゃだめだっ。」
『…あなた、誰?』
「!…、ボクはアルフォンス・エルリック。君の…友達だよ。」
『友達…?』
支えられながら歩いてきたのはガリガリで、皮と骨だけのような身体をした少年だった。
ただ、ついさっき私の事を友達?といった金髪の青年と同じ髪色をしている。
そして同じエルリックの姓。
そんな彼の必死な表情から目が離せなかった。
『――…。』
「帰っちゃだめだ。記憶を無くす前、君が僕に言ったんだよ。引き留めて欲しいって。」
『私が?君にそういったの…』
ゆっくり頷くアル。
なぜだろう。不思議とそんな気がしてきた。
なぜか帰ってはいけないような。
忘れている私の中の記憶のかけらがこの国に留まるよう引き留めているみたいで。
サヤはリンへと振り返る。
『リン、ごめんなさい。私…一緒には帰れない。』
「サヤ…」
『確かに私は記憶を無くしている。…だけど今はまだ帰ってはいけない…、なんとなくそんな気がするんだ。よくわからないけど…』
心の奥底で何かが引き取める。
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