第39話
夢小説設定
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見覚えのある空間。
これで何度目だろうか、ここに来るのは。
真っ白い空間に、大きな扉。
そして目の前には…、
【…連れ戻しに来たのか。】
「…あぁ、」
【だが、どうやって人間ひとりの記憶を取り戻す?代価は?お前の記憶を差し出すか?】
「……。」
真理の問いに、迷くことなくエドは彼の後ろにある真理の扉の前へと向かう。
見上げた扉は不思議と怖いと思わなかった。
あの時はこの扉の向こうをもっと見たいという欲求があった。
すべてはこの扉から始まり、そして…
「代価ならここにあるだろ。でけぇのがよ。」
【――…。】
この扉で終わる。
終わらせる――。
【真理の扉は全ての人間の内にある。―それは全ての人間に錬金術を使える力があるということだ。
……錬金術の使えないただの人間に成り下がるか?】
「成り下がるも何も最初からただの人間だよ。合成獣にされた女の子ひとり助けられない小さな人間だ。真理とかいう物を見ちまってからそれに頼って過信して失敗して、それの繰り返し…、」
いつも思い浮かぶのは笑顔が良く似合うちいさな女の子・ニーナ。
きっと彼はその子の事を一生忘れはしないだろう。きっとアルもサヤも…。
「…、…踊らされたよなぁ。」
錬金術が使えても助けることが出来るのはほんの小さな一握り。
錬金術がすべてではないのだとようやく気付くことが出来た。
【…もう“これ”がなくても大丈夫か?】
「錬金術が無くても、みんながいるさ!」
“真理”が笑ったように見えた。
なにかを企んでいるようでもなく、意地の悪い感じでもなく。
まるでエドの事を認めるかのように、笑った。
【―正解だ錬金術師。お前は“真理”(オレ)に勝った!】
持っていけ―、
全てを――…。
【―、勝手口は、あっち、だ…。】
エドの真理の扉が消えていく。
消えていく扉の向こう側。その先で見慣れた姿を見つけた…。
その人物は辺りをキョロキョロさせていて。こちらにはまったく気づく気配がないのでエドはサヤ、と声をかけた。
『――…!』
「よう。」
『あなたは誰。ここはいったいどこなの、…でっ!』
ごちん。
頭を殴られ、鈍い音が小さく鳴る。
涙目でサヤがエドを睨む。
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