第38話
夢小説設定
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真っ白い空間。
大きな扉。
初めてくる場所。
なのにどこか落ち着く。
『ここが真理の扉…?』
「…そうだよ。」
後ろを振り返る。
そこには初めましてだろうか。
金髪・金色の目をしたガリガリに瘦せ細った少年がいた。
その姿が兄・エドワードと一緒で。
今目の前にいる彼が本当のアルフォンスなんだと改めて認識する。
『もしかして…、アルフォンス…?』
「うん。…そうだよ。…初めまして、ていうのもなんだか変な感じだね」
『ふふっ、そうだね。』
2人だけの空間に3人目の声が聞こえてきた。
その姿は真っ白く、けれでよく見るとそれはサヤと似たようなシルエットをしていた。
【兄に右腕が戻った。さてどうやって弟を元の世界に戻す?】
『…お前が真理、というやつか。』
【そうだ。人は私を真理と呼ぶ。あるいは世界、あるいは宇宙、あるいは神、あるいは全、あるいは一。――そして私は“お前”でもある。】
「サヤ…っ」
『心配ない。』
言いたいことはわかる。
不安そうな顔をしてみせるアルにサヤは自分の黒いコートをなにも着ていない彼に着せた。
女性ものコートだが今の彼には十分すぎるほどサイズが大きく、それだけ彼の身体が細く小さいことがわかる。
『…対価を払おう。エドワードの右腕とアルフォンスを元の世界に戻して欲しい。』
「…何を犠牲にする?」
『…私の…、』
ふと頭をよぎったのがマスタング大佐だった。
彼は強制的ではあったが扉を開き“視力”という物理ではない対価を支払い、新たな錬金術の力を手に入れた。
それを聞いた##NAME1##はエドやアルのように対価は身体の一部でなくてもいいのだと悟った。
魂を呼び戻すには腕一本。
なら身体すべてを呼び戻すには…?
『…私の“記憶”すべて。』
【……。…ほう…。】
「…記憶って…、」
『身体の一部じゃなくてもいいのは知っている。私の生まれてから今この瞬間までの記憶を対価に支払おう。』
【面白い。一度失った記憶を取り戻すのは容易くはないぞ?】
『わかっている。…でも記憶なんてまた一から作ればいい。覚えていなくてもきっとまた同じことを私はするさ。』
覚悟は出来ている。
周りの人には苦労を掛けてしまうかもしれないが。今の私には助けてくれる“友達”がたくさんいる。
…大丈夫、信じてる。
【…いいだろう。ただし対価として払うのはお前の12歳から先の記憶だ。】
「12歳から先の…?それはなぜ?」
“真理”が怪しく笑ったように見えた気がする。
【何故かって?…それはお前が一番わかっていると思うが?】
『…。…っ!あの事件からの記憶を消そうとしているのか…。』
あの事件…。
それは私の人生の中で最も消す事の出来ない記憶。今でも生々しい惨劇が思い出せるあの日。
シン国で私が一族を滅ぼされ流刑になったあの日だ。
一度その記憶を失い、再び取り戻した時果たして私は平静でいられるだろうか…。
真理はそれを試そうとしているのだ。
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