第38話
夢小説設定
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動け。動けっ。動け――っ。
『く…、このままじゃ…っ、…!』
「兄さん…っ!逃げてー!」
『アル…、』
ボロボロの身体のアルが必死に叫ぶ。
だがその衝撃でみるみる彼の鎧の身体が崩壊していく。
ふとあることが頭の中をよぎった。
なんてバカなことを思い付くんだろう。
だが迷っている暇はない。
同じくボロボロの自分の身体を叱咤してアルのもとへふらふらになりながらも駆けた。
『―アル!』
「サヤっ、兄さんを…っ」
『わかってる!だから一緒に助けよう!』
「―!どうやっ…っ!」
ザクザク、とアルの周りにクナイを打って錬成陣を作りサヤ自身もその中に入る。
まさか…っ、と思うも言葉が出てこなかった。
アルの中で警鐘が鳴り響く。
いけない…、こんなことをしては…。
「ダメだサヤ…、君がそんなことしちゃいけない…っ」
『間に合わない…。ほかに方法がない。エドは右腕を犠牲にしてアルを向こうから呼び戻した…。ならその“逆”も可能なはず。ついでにアルの身体も一緒にこちらへ連れ戻して見せるっ。』
「サヤ!それじゃ君が…っ」
『大丈夫。…信じて。』
「――…っ!」
ホムンクルスがエドに迫る。
もがくエド。するとそこにあったであろう右腕の場所に5本のクナイが打ち込まれる。
突然だったのでどこからだ、と視界をさ迷わせると目に飛び込んできたのはアルと一緒に錬成陣の中に立つサヤ。
サァ…と血の気が引いていくような感覚がした。
やめろ…。
お前がそんなことしなくていい…。
そんなことをしたらお前がどうなるかわからないのに…。
やめてくれ…。
俺達のために…――。
『エド…、信じてるから…―。』
「やめろぉおーー!」
バチィと錬成反応の光が迸る。
なぜか美しいと思ってしまうような光だった…。
光が消えた直後、エドの右腕に異変が。
「…――!…ち…っくしょーー!」
彼に右腕が戻った…。
代償を残して。
錬成陣の中で横たわる彼女と、彼女が着ていたであろう黒いコートにくるまれ小さくうずくまってなにかが隠れている。その隙間から金色の髪が少し見えていた――。
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