第38話
夢小説設定
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『賢者の石を欲しがっているなら私と接触するために防御を一旦解くと思った!』
《――っ!》
『行けっエド!』
――バキィイン!
エドの攻撃を防御の壁が防ぐ。
「(く…っ、ノーモーション錬成なんて反則くせぇー!不意打ちにも対応しやがるっ。…持ってくれよ俺の腕!)」
エドに意識が反れたおかげでサヤはやつから離れることが出来たが、かなりリスクが高い作戦だったと思う。おかげで自分に残された賢者の石の力は残り少ない。
また防御の壁でこちらの攻撃を防いだホムンクルスだったが、様子がおかしかった。
いままで涼しい顔をしていたのにその余裕がいまはもう無い。
《――!》
――ボキィン…ッ!
「(…ダメかッ。)」
『―エドッ』
ウィンリーの丹精込めた機械腕が防御の壁に耐え切れず、ついには粉々に砕けてしまった。砕ける様がやけにスローモーションで動いて見える。
だがホムンクルスにもついに変化が起こる。
エドはそのすきを見逃さなかった。
「あきらめるなー!」
《…っ!》
身体が吹き飛ばされそうになるも、続けて顔面に向かって蹴りをくらわす。
本来ならこれも防御の壁で防がれてしまうのだが…、
――バキッ!
『―あっ!』
素手で…、防御、した…?
《う…、うヴ…っ、》
「やつの限界だ!あいつはもう神とやらを抑え込んでいられない!」
『みんな離れろー!危険だっ!』
ホーエンハイムが叫ぶ。
ホムンクルスの断末魔のような叫び声が響き渡る。取り込まれた神とやらが解放されようしていた。
物凄い衝撃波が周囲を襲う。
ガガガッ!
「ぐわぁあ!」
『っ!エドー!あぁあー!』
――!!
大地が震えた。
遠く離れた兵士達にも届くほど激しい衝撃がこの空間を襲う。一番近くにいたエド、サヤがもっともその衝撃をもろに受けた。
吹き飛ばされる身体。
瓦礫であちこちを打ち、もう立ち上がれないほど。
サヤ達だけじゃなく、他のみんなもかなりのダメージを受けたようで立っている者は誰もいなかった。
神の力を失ったホムンクルス。
徐々に身体が灰となり崩れ落ちる中、賢者の石を求めふらふらとどこかを目指して歩く様子がサヤの目に映る。
その先は――。
『エ、エド…っ』
「兄さん…っ」
だがエドはその場から動けない。
吹き飛ばされた衝撃でコンクリートの鉄筋が彼の残った生身の左腕を貫通し拘束する。
痛みも忘れてなんとか抜こうともがくがビクともしない。
《石…、賢者の石…、》
「ぐ…、ぐぉお…!」
このままでは…。
彼が賢者の石にされてしまう…っ。
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