第30話
夢小説設定
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「……。」
「リゼンブールだよーっと。」
あの手紙から1週間ほど経った頃。
1人のイシュヴァール人がリゼンブールの駅に立っていた。
とっとと会って一緒に帰ってこい。と共にイシュヴァールの地へ行ったマイルズにさんざん言われてようやくここまでやって来たのは、かつて国家錬金術師殺しの指名手配犯として名を馳せた人、スカーであり、サヤが記憶を失う前に想いを寄せていた人だ。
サヤの身に起きた事情はアルフォンス・エルリックから手紙で知らせてくれた。
記憶を無くした事。
戻るまではしばらくリゼンブールで暮らす事。
元気にしている事。
いつでも来てくれたらいい、と。
だが彼は躊躇した。
自分なんかが会いに行っていいものか、会ったところで誰だと言われるのが恐ろしかった。
マイルズには会わねば何も変わらんと言われ続けてきたのだが。
立ち尽くすスカーに駅長さんは不審な目で見ていた。
ようやく一歩踏み出す。
これほど重いと感じる歩みは初めてだ。
その頃、サヤは…
『デンー…、』
「わん」
犬のデンをシャンプーしていた。
水をかけたところ、遠慮なく体を震わせ飛んだ水しぶきが全部彼女にかかった。
「!」
『あ、ちょっとっ』
まだ体を拭ききれてないのに、なにかに気づいたデンが突然玄関に向かって走り出す。
「わんわんっ」
『誰か来たの…?』
追いかけた先、機械鎧の看板の前で
立ち尽くす人がいた。
吠えていたデンだったが、何故かおすわりしてしっぽを振っている。
デンが一瞬で懐くなんて珍しい。
『お客様かな?いらっしゃい…ませ…』
「!…、」
来客者は突然現れたサヤに驚いた様子でこちらを凝視したまま一言も発することなく立ち尽くす。
サヤ…
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