《……、資源はまだまだいくらでもある。また賢者の石を作れば良いだけの事だ…。一億でも十億でも、人間というエネルギーはこの地上に存在するのだから！》



苦しそうな表情を見せながらも、ホムンクルスは今度は地上から竜巻を錬成させ、エド達を襲う。



「竜巻！天気まで思うがままかよ！」

「おじさま正面！」

「…っ！」


上からの竜巻はメイが錬丹術で防いでくれたが、たたみかけるように今度は真正面からまたさっきのエネルギーの塊が襲ってくる。
メイの声に慌ててホーエンハイムがまた攻撃を防ぐ。


だがさっきよりも強いエネルギー力に相殺が追いつかない。



「く…っ！相殺が間に合わんっ」

「踏ん張ってくださいおじさマ！防御の陣が壊れル！」


ズズ…、と徐々にメイが作った錬丹術の陣にまで崩壊が迫ってくる。
これが壊されてしまえば地面の防御が出来なくなる。

だがホムンクルスはさらに追い打ちとばかりもう一つエネルギーの塊を放つ。



「…っ！」




やられた…、押し返せない…――、









バチィ――！




「ぁ…っ、」


『っ…、』



追加で放たれたエネルギーの塊が当たる瞬間、もう一枚別の防御の陣がさらにエド達を守る壁となって攻撃を防いだ。

誰だ、と後ろ振り返る。




「サヤ！お前…っ」


意識がなく、絶望的と思っていたサヤが起き上がって錬丹術を発動させていた。


『メイっ、私と力を均等に合わせるんだ、できるか？』

「サヤ姉様っ！はイ！任せてくださイ！」


２人で地面に手を着き、メイと力を合わせて錬丹術の防御壁をさらに強固なものにする。


よかった…っ、サヤ姉様生きていらした…。

思わず涙が溢れそうになるのをメイは必死でこらえる。


どうやらサヤはホムンクルスに身体を乗っ取られていた関係で一時的に仮死状態になっていたようだ。メイの錬丹術の源である龍脈を身体に感じ、奇跡的に息を吹き返すことが出来たのかもしれない。




「く…っ、しっかりろてめぇこの野郎！気ぃ抜くんじゃねぇぞ！」

「父さん頑張って！」

「――…っ！」



攻撃を必死に防いでくれているホーエンハイムの背中を息子であるエド、アルが支えた。

こんな状況なのにホーエンハイムは嬉しさのあまり思わず笑みがこぼれる。
これでは踏ん張るしかないではないか、と。




「まいったねこりゃ…、ボンクラ親父だけど…」



いいとこ見せたくなっちまうなぁ！！


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