第36話
夢小説設定
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「…この歌、…」
「なんだ!?なにが聞こえてきてんだっ」
辺りを見渡しても、声の元がわからない。
だがアルには、はっきりとわかっているようで。
うれしそうに言った。
「兄さんサヤだよ!この歌僕知ってる!」
「サヤ…って、ほんとかアル!?…あいつなのかっ」
どこから聞こえてくるのかわからない。わからないがあるとすれば、“器”として奪われたあのサヤの体からしかない。
とうとう抑えきれないアメストリスの人達の魂がホムンクルスの体から解放されていく。
その時も“歌声”がはっきりと聞こえた。
きっと体を乗っ取られたときもサヤの精神がやつの中で必死にあがいていたのかもしれない。
『ぐ――…。
―…私の中から出ていけホムンクルス!!』
サヤの体から何かが分離していく。
サヤという“器”から拒絶されたホムンクルスの精神が新たな“器”として肉体を錬成する。
分離したサヤの体が宙に放り出される。
攻撃が緩んだすきにホーエンハイムが錬成した手で捉え、こちらへ引き寄せる。地面に落ちる体をエドがうまくキャッチした。
「…っ!…おい、しっかりしろサヤ!」
『……。』
歌声はもう聞こえない。
うまくホムンクルスから引きはがせたのに、取り戻した彼女の体は生きている気配がしなかった。
「姉様…っ、そんナ…ッ」
《……ッ、》
「くそっ。間に合わなかったか…っ。アメストリスの人々の魂は無事それぞれの体へと戻っていった。元から持っていたクセルクセス人の魂だけでは、そのとてつもない“神”とやらを抑え込んでいられまいっ。」
《…ふむ…。この状況でこれを開放するのはリスクが高いな》
ホムンクルスは掌に作っていた疑似太陽を消した。それにより一時的に攻撃の手が止まる。
「ぶはぁ!」
「父さん!」
「大丈夫かメイ!」
「はっは…、どうだ…っ。今は神とやらをその身体のうちに保ち続けるだけで精一杯なのではないか?」
ホーエンハイムの言う通り、ホムンクルスはなにかをこらえるように身体を震わせている。
バチバチと錬成反応も少し見え、苦しそうだ。
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