第30話
夢小説設定
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あなたは誰?
手紙の最後に
イシュヴァール・カンダ地区
とだけ書いてあったので、ダメもとでそこへ手紙を返してみたらなんと返事が返ってきた。
誰でもない
カサ…と開いた手紙の中には相変わらず一行しかない中身。
手紙をありがとう。
私は元気に過ごしています。
あなたは?
息災にしている。
たった一行のやり取り。
だがサヤは手紙を書く相手がいるということ、遠くで自分を心配してくれる人がいることに嬉しくなり返ってくる手紙に何度も何度も返事を書いた。
相手がどんな人なのか、など気にもせず。
「サヤー、また届いたわよ」
『あ!ありがとうっ』
「ずいぶん嬉しそうね」
『そう?』
「まるで恋人とやりとりしてるみたいよっ」
『こっ…!?』
一瞬で顔が赤くなる。
赤くなっちゃってー、とウィンリーにからかわれているとエドが誰とやりとりしてんだ?と聞いた。
『わかんない。』
「わかんないってお前なぁ」
『名前が書いてないの。…ただ、最初の手紙の最後に″イシュヴァール・カンダ地区″とだけ書いてたからダメもとでそこへ送ったら返事が返ってきたの』
「イシュヴァールのカンダ地区って…」
もしかして…、とウィンリーとエドが顔を見合わせる。
『え、なにか知ってるの?』
「…もしかしてって思ってな。」
「サヤ、その人に会いたいって、書いたら?」
『えぇ!?無理無理っ』
また顔が赤くなる。
「案外その人に会えば記憶全部戻るかもよ?」
『……、そう、かな…』
「ま、好きにすれはいいんじゃねぇの?記憶戻すのに焦ることねぇさ」
『うん…。』
少し不安そうな顔を見せたサヤにエドば頭をぽんと撫でた。
手紙の人は私の何かを知っている人…なんだろうか…。
私を知っていますか。
知っている
…知ってる。
気づけば私はまた、紙を前にペンを取っていた。
会いたい、て言ったら会ってくれますか?
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