第34話
夢小説設定
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『この下…、あいつだ…。』
「真下にいまス!」
「──!、ぬっ、この…、あのお方のジャマはさせん!」
サヤとメイの言葉に、いままで大人しく捕まっていた白衣の老人がもがき始めた。
「あきらめなじいさん。おまえはこの俺が…」
ゾク…ッ!
『──!ジェルソ!今すぐそこから降りろ!』
「な、なんだって!?」
突然サヤが叫んだ。
メイだけじゃなく、ダリウスも何かをヤバい気配を感じとったようで。
「こいつはどーすんだ!?」
『そいつはもういい!捨て置け!早くこっちへ!』
「お、おう!」
もがく老人ごとサヤ達のところへ降り立とうとするジェルソ。
が。
ドジャッ…
天井の穴から大量の血が。
はたして老人の血なのか、ジェルソの血なのか。
『!!…、ジェルソ!』
叫び声と共に2人が落ちてくる。
血まみれになっていたのはジェルソだった。
『─!!』
悲鳴をあげそうになった。
慌てて駆け寄る。
ジェルソ達と一緒に天井から降りてきたのは…、
《……。》
ホムンクルス─プライドだ─。
アルフォンスとともにスラムで囚われていたはずの彼がなせここに…。
しかし今のサヤには気にする余裕もなく。
『しっかりしろ!今傷を塞ぐっ』
「す、すまねぇ」
バチィと錬成反応が起きれば傷も塞がり出血は何とか止めることが出来た。
その様子を始終、大総統が見ていた。
『血は止めたから安心して。あとは私達に任せて、ジェルソは下がっていて。ザンパノ、彼をお願い』
「おう、気をつけろよ」
こくん、と頷く。
すると何かを言いたそうに見ていたラースと目が合った。
『……。』
「…貴様もシンの皇子と同じだな。」
『…リン・ヤオのことか。』
「“あれ”も倒れた部下を背負って逃げようとした。愚かな…、」
『どういう意味だ?』
大総統の言葉に、ピクリ。と反応する。
「そのままの意味だ。…駒のひとつやふたつ、捨て置けばいいものを。それが出来ぬから余計に周りを巻き込み、己を犠牲にする。」
だから貴様の一族は滅んだのではないか。
…そういわれた気がした。
だが、たった1人を救うために、一族が犠牲になったのだとしても。
私は…、
ぐっとこらえるように手を握りしめた。
強く握りしめた手に血がにじむ。
彼女が怒っている。
みんながそう思った。
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