第34話
夢小説設定
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その頃、サヤ達は…――。
『…ここだ。この真下にあいつがいる。』
「あ!姉さまあそこ!」
『…!あれは…っ、』
「おいおいっ、やべぇなっ」
入り組んだ道を進んでいたサヤ達のすぐ傍でスカー達が戦っていた…いや捕まっているのか。
スカーにマスタング大佐、ホークアイ中尉。
敵は白衣を着た老人、軍服を着た人が数人。
マスタング大佐は両腕を押さえつけられ、ホークアイ中尉は頸動脈を切られたのかここから見ても出血がひどい。
『助けないとっ』
「行きましょウ」
――…。
「中尉!中尉しっかりしろ!私の声が聞こえるか!返事を!」
「決めてくれたかねマスタング君」
白衣の老人が笑みを浮かべる。
「貴様あぁあぁあ!」
「さあ、さっさと人体錬成をやってみようか。誰を錬成する?家族?友達?恋人?この女が死んだら錬成するかね?それでもいいよ。」
「死なないわ…」
「…!」
小さい声で、しかしはっきりとホークアイ中尉が老人に向かって言う。
「私はね…、命令で死ねないことになってるのよ。」
「そんなので死なない体が手に入るなら人間苦労しないよ。…どうする?マスタング君」
刻一刻と中尉の生命が脅かされつつある。
老人はこれ見よがしに賢者の石をマスタング大佐に見せつけた。
「私は錬金術が使える医者で、賢者の石を持ってる。さぁ、君のとるべき選択は?」
「……っ」
「人体錬成なんてする必要ありません。」
「するでしょ、マスタング君。」
本当は今すぐにでもやって、中尉を助けたい。
押さえつけられた腕がもどかしい。
迫られる究極の選択に叫んでしまいたい。
すると、ふと中尉と視線があった。
今までであまり見たことの無い気迫の迫る視線。だがその視線がほんの一瞬だけ天井を見た。
その一瞬をマスタング大佐は見逃さなかった。
「…。…わかった…。」
「おお!やってくれるかね!」
「わかったよ中尉。人体錬成はしない!」
白衣の老人の笑顔が消えた。
理解出来ないという顔だ。
「見捨てるのか?冷たいね、君」
「見捨てる?この大総統候補達を捨て駒のようにあつかう貴様に言われたくないな」
「……。親に捨てられそのままでは死んでいたであろう者達に食事を与えた。一流の教育を与えた。そして存在意義を与えた。」
この者らは私に感謝しているだろうよ。
自慢げに老人が言う。
吐き気がしそうな言い分だ。
自分は正しい事を、彼らに親切にしたあげたとでも言うような。
今すぐにでも舌根を引っこ抜いてしまいたい。
「そんなんだから貴様は足元を救われるのだ。」
「なに?」
を。
その先の言葉を聞くことは出来なかった。
何故なら白衣の老人が忽然と姿を消したからだ。
文字通り、“消えた”。
「消え…」
…コツン。
何かが床に落ちた。
それは老人が持っていた賢者の石だ。
大総統候補の1人が天井を見上げた。
「感謝してるかって?まぁこういう時はこんな便利な身体にしてくれてありがとうよ…て作り主に感謝するけどな。てめぇらみたいなタイプは正直ぶっ殺したいね」
天井にいたのはジェルソだ。
変身した身体で舌を使って老人を捕縛していたのだ。
「いっ…今この場で錬金術の使える医者は私だけだ!私を殺せばこの女は助からんぞ!わかっているのか!」
『結構!セリフが三流以下だな。“お医者サマ”!』
───!!
天井からサヤ、メイ、ザンパノが降りてきた。
『はぁ!』
敵に向かってクナイを投げ打った。
何人かの眉間に刺さる。
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