第30話
夢小説設定
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一通の手紙が届いた。
元気にしているか。
…なんだろうこれ。
たった一行の手紙。
送り主の名前も無し。
ホムンクルスとの激闘から2年後。
サヤはエド、アル、ウィンリー、ピナコさんとリゼンブールのあの家で暮らしていた…。
「サヤー、あなた宛に手紙が来てるわよ」
『私宛…?誰だろう。』
ウィンリーが手紙を持って来てくれた。
初めて訪れた時となんら変わりなく私はここで暮らしている。
…変わったとすれば、記憶を無くしている、ことぐらいだろうか。
リゼンブールの風が少し伸びた彼女の髪を優しく撫でる。
「体調はどう?」
『平気、手紙って誰から?』
「それが名前が無いのよ。ただサヤの名前だけが書いてあるの」
『ふーん。』
私には記憶がない。
正確には12歳から先の記憶──シン国を追放され、アメストリス国で暮らした12歳からあの激闘の時まで──。
シンで暮らした記憶は残っている。
だから一緒にシンへ帰ろうと言ってきたリンに対し、アルが必死で私を引き止めた。
「帰っちゃだめだっ。」
『あなた誰?』
「!…、ボクはアルフォンス・エルリック。君の…友達だよ。」
『友達…?』
ガリガリで、皮と骨だけのような体をした少年に必死な顔で引き止められて何故か私は頷いていた。
こうして今、彼らの故郷リゼンブールで暮らしている。私の記憶が戻るように。
穏やかな日々のおかげで、この2年で少しずつ戻った記憶もある。
ちなみに私の友達だ、といった彼の体もずいぶん健康体に戻っていた。
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