第31話
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ずいぶん話し込んでしまった。
そろそろ時間が迫ってきている。
みんなの所へ戻ろう、と促す。
2人でエド達が待つ場所まで歩いた。
ちょうどダリウス達もエド達の元へ来ていて。
『エド、』
「おう。仕込みは終わったよ」
『ん。』
「たいしたもんだよお前の弟は。」
ジェルソのセリフにダリウスも″山″を見上げた。
サヤももう一度見上げる。
あの中にアルが命懸けでプライドを留めてくれているのだ。
「アルが踏ん張ってくれてるんだ。…後は俺達がやるだけだ。」
『うん。』
土埃にまみれたエドの赤いコートをはたいて袖を通す。
背中のフラメルの紋が一際目立った。
一方、一足早く中央ではマスタング大佐組が大総統夫人を人質にクーデターを起こし、軍を混乱させていた。
人数は少ないものの粒揃いのメンツゆえに、中央軍も手も足も出ない様子である。
なにより強力なのはマスタング大佐の錬金術だ。いわゆる強力な火炎放射器、ともいえる。
マスタング大佐達が表で騒ぎを起こしてくれている間に、自分達は地下にいる″お父様″を叩く。
『…かすかに警報が聞こえる。』
「市街で煙も上がっていまス」
木の上から見張っていたのはランファンだ。
「大佐達が動き出したな、」
ずいぶんハデにやってんなー、と呟くザンパノにジェルソがどうする、とエドに言う。
「混乱に乗じて地下中心部を叩こう」
「奴の国土錬成陣が発動した時のカウンターは用意してあるが、元から発動させないにこしたことはない。」
あいつはしょせん、フラスコの中の小人がでかくなっただけだ。
そう語るホーエンハイム。
「入れ物を壊せば死ぬだろう。あいつの…、中に縛られているクセルクセスの魂達も解放してあげられる」
『……っ』
その言葉にサヤは自分の胸に手を当てる。この″中″にも賢者の石…、つまりクセルクセスの人達の魂があるという事だ。
辛そうな顔をしてみせたサヤにスカーは静かに見つめていた。
「ひとついいか。」
ふと口を開いたスカーがホーエンハイムに向かって言った。
何だい、と返す。
「サヤの中にある賢者の石が消費され無くなった時、…どうなる。」
彼女がとは言わなかった。
言わなくても分かってくれると思い。
「……。…彼女自身の生命エネルギーが残されていれば、例え賢者の石の力を使い果たしても死にはしない。…ただ、」
『…ただ?』
「ただ、賢者の石と一緒に己の生命エネルギーも使い果たしてしまえば…」
『…、死ぬ…、』
その言葉に絶望と希望が入り交じる。
スカーは静かに拳を握りしめた。
「…だったら、使わせなきゃいい話だろっ」
『エド…、』
黙って聞いてるだけだったエドが簡単にそう言ってのけたのだ。
「後のことは後で考えようぜっ」
『…、うんっ。』
時間はいくらでもある。
″お父様″さえ倒すことが出来れば。
気持ちを切り替えよう。
「…で、どうやって地下のそいつに近付くんだ?」
ザンパノのセリフにうーんと唸る。
『中央司令部に入れればお父様のところまで直通だが…、』
まずそこへたどり着くのに一苦労しそうだ。
「地下への入り口ならひとつ知っている。以前メイと共に入った地下道は″お父様″とやらの所に繋がっていた。」
その道は巨悪なキメラが山程いるが、この面子なら行けるだろう、とスカーが言う。
「よし、決まりだ。行こうっ」
「ハインケルは留守を頼む。マルコーさんもここにいた方がいいな」
「おう。」
『帰ったらまた包帯変えるね』
ありがとうな、とハインケルがいう。
「フーさんが戻ってきた時のためにここに残ってるよ。」
「ヨキ…も留守番してろ」
ジェルソの気遣いに彼は全力で頷いた。
もうすぐだ…。
決戦の時まで。
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